コールドプレイ

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コールドプレイ

衝動と理性が完璧に融合した21世紀最高のロック・アルバム『X&Y』。
心に響く奥深い音楽性を、圧倒的なスケール感で具現化した
コールドプレイの第3章がここに始まる…。

(初出『Groovin'』2005年5月25日号)

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 ともに世界中で大絶賛され、グラミー賞も受賞している『Parachutes』『Rush Of Blood To The Head』に続く、3作目『X&Y』がいよいよ6月1日にリリースされる。クリス曰く、「数学ではいつでもXとYが解答だった。でも人生では、答えは誰にもわからない。ぼくにとって、このアルバムはそういった答えの出ない質問についての作品であり、未知なる変化するものをすべて解き明かすことは出来ないという事実について、どう対処すべきかということなんだ」。完成させるまで、シカゴ、N.Y.、L.A.、リヴァプール、ロンドンと8つのスタジオで、18ヶ月のマラソン作業を費やした。しかし、自らの音楽に一生懸命になっている時、彼らはどんなことだってできる。「やれるぎりぎりまで、自分たちを必死に駆り立てたんだ」。ギタリストのジョニー・バックランドはこう説明する。さらに「僕たちは前へと進んできて、その事を楽しんでいるんだと感じられる必要があったし、時が満ちるまで発表する気はなかったのさ」。底知れぬ"重圧"と"葛藤"の中、難産の末誕生した『X&Y』、メンバー自身が「これ以上の作品は作れない」と太鼓判を捺す内容で、正に入魂の作品となっている。
 そして待つだけの甲斐はあった。『X&Y』は、言葉のあらゆる意味においてビッグなアルバムだ。曲は巨大だ。成長と成熟の過程にある、新しいことに挑戦する準備が整ったバンドの姿が具現化されている。その音楽は時に静かで親密だが、別の時には重厚で層の厚いサウンド、圧倒的なスケール感を組み上げて、コールドプレイの新しい地平を開拓している。歌詞では命と死、愛と喪失といった普遍的なテーマや、我々を取り巻く世界に魅せられることを歌っているだけでなく、完全には理解しがたい物事を受け入れることについても取り上げられている。身近な人々の死と折り合いをつけることを歌った「Swallowed In The Sea」、シンプルだがこの上なく感動的なラヴ・ソング「A Message」、痛いほど美しい「What If」は、クリスが心配の種を失くしていないことを示している。「幸せであればあるほど、失わなければならないものが多いんだ」更には「僕らの作った中で最高の怒れる曲」という「Twisted Logic」等。「僕らのレコードは何よりもまず、すばらしい曲でなければならないんだ」「自分たちで聴いて感動できるものを作りたいんだ」とメンバーが語るように、彼らの最も生々しいメッセージが詰まった作品に仕上がっている。
 彼らの誠実さゆえに、あらゆる面で"完璧"を求め、本当に重要な何かを忘れてしまっていた時期もあったらしいが、まず何よりも彼らが友人同士だということを思い出し、それから何が欠けていたのかに気づいた。「偉大なバンドになるには、一緒に遊ばなければだめさ」とジョニーがニヤリとする。メンバー4人がお互いをそれぞれ信頼し合い堅く結ばれた結束のもと、自ずと生まれた相互作用によって、またしても奇跡的なサウンドを醸し出した『X&Y』。僕たちの想像を絶する、情熱とエネルギーに満ち溢れた"完璧"な作品だ。

Text by 大林 誠(大仁店)

『X&Y』
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東芝EMI
6月1日発売
CD
TOCP-66370
¥2,548(税込)

クリス・マーティンがバンド・エイド20の「Do They Know It's Christmas?」に参加したことも記憶に新しい、世界の頂点に君臨するバンド、コールドプレイの3作目。メンバー自身「これ以上の作品は作れない」と太鼓判を捺す内容。あなたの感性で確かめてほしい。

【コールドプレイ 日本オフィシャルサイト】http://www.emimusic.jp/coldplay/

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