Full Of Harmony

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Full Of Harmony

個性的な歌声とハーモニーで、独自のグルーヴを生み出すFull Of Harmony、
1999年のデビューより6年の間にリリースされたシングルで綴る、軌跡的アルバムをリリース。
3人の織り成す珠玉のハーモニーは、いつの時代も輝きに満ちている!

(初出『Groovin'』2005年6月25日号)

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 歌声が紡ぐ美しいハーモニーを聴くと、つくづく人間の神秘的なものを感じてしまう。バンドによるセッションや古典楽器で奏でるオーケストラなど、何かしらの楽器を通しての個性はテクニックやセンス的なもので多様に変化するが、フィルターを通さない歌声は、その人が生まれ持ったその人だけの個性であり、どれだけギミックを身に付けたところで根本の部分は変わる事はない。それでいて歌声はバンドを含むグループにおいての「顔」的存在にもなってしまうから責任重大。「このバンド、サウンドはすっごく良いんだけど、歌声がねぇ…」なんて、歌声によって興味を削ぎ落とされる事もしばしば。それだけ歌声は、聴き手の深部に届く大切な"楽器"なのだと思う。そして、歌声を重ね、響かせるハーモニー・グループの直球勝負の凄みみたいなものを改めて実感する。まさに"唯一無二"という言葉が相応しいのかも知れない。
 そんな事を改めて感じさせてくれたのが、このFull Of Harmonyである。今でこそハーモニーを紡ぐグループは複数いるが、シーンが賑わう以前から彼らは地道ながらもその歌声を着実に私たちへと発信し続けてきた。Full Of Harmonyは、1997年の結成当時は"F.O.H."の名前で活動、独自のコーラス・ワークを生かし精力的なライヴ活動が実を結び、1999年にメジャー・デビュー。以後、ZEEBRA、DOUBLE、吉田美和、Rhymesterといった様々なアーティストとのコラボレーションも実現。ZEEBRAとRhymesterにおいては、特に厚い信頼を置かれ彼らのツアーにも参加した。そんなジャンルに捕われないボーダレスな活動により、2003年には大ヒット韓国映画「猟奇的な彼女」の日本語テーマ曲「I Believe」を彼らが手掛け、一躍脚光を浴びる事に。メロディーを聴くだけで"=猟奇的な彼女"と容易に連想出来るほど映画を象徴するものとなったこの楽曲に、より物語をリアルに彩る日本語詞をのせて歌う事により、この楽曲の良さを改めて私たちに教えてくれた。そしてつい先日に発売された最新シングル「涙の数だけ」もまた、現在上映中の映画「戦国自衛隊1549」の主題歌として話題に。映画のスケール同様の壮大なバラードは、彼らの長きに渡る活動の成熟ぶりを味わえる珠玉の作品となった。
 そして6月29日、彼らがこの6年の間にリリースしたシングルで綴る軌跡的アルバム『SINGLES 9905』をリリースする。ベスト・アルバムだけでは彼らを語り尽くせないかもしれないが、彼らのこれまでの歩みと成熟ぶり、そして何より何時の時代でも変わる事のない3人の無二のハーモニーが息づいているので、そっとアルバムのページをめくるように聴いてもらえると嬉しい。彼らをよく知る人たちには、きっとセピア色に収められていた思い出が、鮮やかな色を付けて蘇る事だろう。前述の「I Believe」「涙の数だけ」を始め、ピンクパンサーのテーマ曲を大胆にサンプリングしてRhymesterをフィーチャーした「S.E.X. featuring Rhymester」など全14曲を収録。彼らをよく知らない人たちにもまた、彼らを知る一番の近道である楽曲が多数収録されているので、是非とも手に取ってみて欲しい。
 彼らの主張し過ぎず、そっと傍で語りかけるような優しい歌声が好きだ。そしてこれからも彼らのハーモニーが、私たちの心を潤してくれる事を願うばかりだ。

Text by 浜田幸子(編集部)

『SINGLES 9905』
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ビクターエンタテインメント
6月29日発売
CD
VICL-61666
¥3,045(税込)

男性ハーモニー・グループとしてシーンを走り続けるFull Of Harmonyが、1999年のデビューより6年の間にリリースしたシングルで綴る軌跡的アルバムをリリース。3人の織り成すハーモニーの歩みと成熟ぶりをじっくりと堪能できる。初回盤のみ新曲1曲を収録した8cm CD付。

【Full Of Harmony Official Web Site】http://www.foh.jp/

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