トリスタン・プリティマン

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トリスタン・プリティマン

2005年、夏。新しい波がやってきた!
その名は、トリスタン・プリティマン。
海と太陽と音楽をこよなく愛するサーフ・ミュージックのニュー・カマー!!

(初出『Groovin'』2005年7月25日号)

 いよいよ夏本番。巷には、レゲエやハワイアン、ボサ・ノヴァなど多彩な音が溢れている。これぞ夏!という音楽のジャンルは実に多い。今年は、新たにレゲトンもブレイクの兆しを見せ、ダンスホールに負けず劣らず若い層を中心に楽しまれている。
 そんな中ここ数年、年齢を問わずヒットしているのがサーフ・ミュージック。ルーツはディック・デイルにあり!というのは大方の認識であろう。しかし、ここ数年のサーフ・ミュージックのブームを作ったのは、なんと言ってもジャック・ジョンソンである。海に親しみながら音楽も楽しむ…そんな自然体のアコースティックな音が人々の心を捉えたのだ(先日の来日公演のチケットは、あっという間にソールド・アウトだったらしい)。彼を取り巻くミュージシャン達も同様である。音の種類は若干違っていても、なんと言ったらよいのか、気負いとでも言おうか、そんなせかせかした感じがまるでないのである。かといって、古臭さはない。むしろ新しい。そんな心地よさが、サーフィン好きを始め、海にあまり縁のないリスナーにもしっかりと届いたことが、埋もれていた才能あるミュージシャン達を第一線に引っ張り上げたのである。しかしながら、表立って出てくるのはヤロウばかり。それはそれでよいのだが、サーフィンで鍛えたカッコいいオンナのコが、アコギ片手に歌ってくれるというのは絵にならないのだろうか?ああ、ディック・デイルの頃には、思いもしないことだっただろうな…。
 しかし、時代は変わる。トリスタン・プリティマン、デビューである。1982年、カリフォルニアのビーチ・タウン、デルマーに生まれる。サーフィンと音楽を愛する両親の元、当然のように海と音楽に囲まれて育った。そして、サーフィンとギターは、彼女のティーン時代になくてはならないものとなった。独学で学んだギター、そしてアーニー・ディフランコの音楽との出会い。アーニーとの出会いは衝撃的だったらしい。それまでの、音楽に対するイメージが一新されたという。この出会いが音楽を自分で作ることに興味を持つ第一歩となったのは間違いない。始まりは自分のためのソングライティングが、誰もがそうなるように、外へと向けた音楽となっていく。そして、そうなるまでに時間はかからなかった。地元のコーヒー・ショップでのパフォーマンス、自主制作の『LOVE EP』が1万枚のセールスとなり、遂には、ジャック・ジョンソンの映像運営会社の目(耳)に留まることとなる。メジャー・レーベルとの契約、冬のニューヨークでのレコーディング、そうした激変にあっても自然体でいられるトリスタンに、海育ちのおおらかさを見ることができる。
 リード曲の「LOVE LOVE LOVE」を聴いても、悲壮感はこれっぽちも感じられない。悩み事があっても、「つまんないことで泣くんじゃないわよ!」と、笑って肩を叩かれそうな雰囲気だ。余談だが、地元ではモデルのバイトもやっていたという美女である。しかし本人曰く、「モデルってつまんない!」…だそうである。こんな事、なかなか言えません(笑)。

Text by 濱田尚子(すみや本店 ソフト館)

『トゥエンティスリー』
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東芝EMI
8月3日発売
CD
TOCP-66420
¥1,980(税込)

昨年G・ラヴのツアーに参加し、一気にファンを増やしたトリスタン・プリティマンのデビュー・アルバム。彼女が生まれ育ったアメリカ西海岸の気候のようにカラッとした歌声と音楽、それでいてメロウでハートフル。ボーナス・トラック2曲収録+「トリスタン・プリティマンEPK」を収録したCD-EXTRA仕様。

【トリスタン・プリティマン 日本オフィシャルサイト】http://www.emimusic.jp/intl/tristan/

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