エリック・クラプトン

SPECIAL SELECTION

エリック・クラプトン

ギターの神様、エリック・クラプトンが4年振りとなるオリジナル・アルバムを発表!
"家族の愛"をテーマにした今作は、穏やかな幸福感に満ち溢れた仕上がり。
ジョージ・ハリスンのカヴァーなど、注目曲も満載!!

(初出『Groovin'』2005年8月25日号)

エリック・クラプトン-A.jpg 昨年の『ミー&Mr.ジョンソン』に続き、敬愛するブルースマン、ロバート・ジョンソンに捧げた"もうひとつ"のトリビュート・アルバム『セッションズ・フォー・ロバート・J』で、2005年の幕を開けたエリック・クラプトン。今年で還暦を迎えた彼の活動ぶりは、いつになく精力的だ。スマトラ沖地震の津波被災者を支援するチャリティー・コンサートへの参加、愛知万博"愛・地球博"の音楽プロジェクト"Love The Earth"のシンボル楽曲「セイ・ホワット・ユー・ウィル」の制作、そして、ジンジャー・ベイカー&ジャック・ブルースと共に結成した伝説のロック・トリオ、クリームの再結成公演(実に37年振り!)など、軽快なフットワークで世界中のファンを喜ばせている。
 そんなアクティヴ・モード全開のクラプトンが、オリジナル・アルバムとしては『レプタイル』以来、4年振りとなる待望のニュー・アルバム『バック・ホーム』を完成させた。今作の根幹となるテーマは"家族の愛"。今年の2月に三女が誕生し、改めて家族の大切さを実感した彼の気持ちがストレートに投影されており、穏やかな幸福感に満ち溢れた1枚となった。巡回者のようなミュージシャンとしての道のりを経て、自分の帰属すべき場所に抱いた確かなる思い…それが"バック・ホーム"というタイトルに集約されているのだろう。
 オープニング・ナンバーは、赤ん坊を育てることの心地よい疲れを歌った「ソー・タイアード」。曲中には赤ちゃんの可愛らしい泣き声(実娘の声?)も入っており、まさに今現在のクラプトンの心情が詰まった思い入れたっぷりの1曲だ。我が子を慈しむ彼の姿が目に浮かんでくるようである。続く2曲目は「セイ・ホワット・ユー・ウィル」のレゲエ・ヴァージョン。"Love The Earth"で発表されたオリジナルとはまた異なる輝きを放ち、この季節にピッタリの爽快な仕上がりになっている。他にも、注目曲が目白押し。重厚なグルーヴに彩られたお得意のブルース・ナンバー「ロスト・アンド・ファウンド」を始め、洗練されたアダルトなサウンドで聴かせる「ピース・オブ・マイ・ハート」、カントリー調のギターが印象的な「ワン・トラック・マインド」、エヴァーグリーンな魅力に満ちた王道バラード「ラン・ホーム・トゥ・ミー」等、多彩な楽曲が満載だ。また、本作にはスピナーズの「ラヴ・ドント・ラヴ・ノーバディ」やシリータ・ライトの「ゴーイング・レフト」といった秀逸なカヴァー作品も収録されているが、中でもジョージ・ハリスンの「愛はすべての人に」のカヴァーは聴き逃せない。クラプトンがギターで参加した原曲と同じイントロは感動モノだし、盟友スティーヴ・ウィンウッドが奏でるシンセサイザーも身震いするほど美しい。そしてラストを飾るのは、アルバム・タイトル曲の「バック・ホーム」。アコースティック・ギターをメインにしたシンプルな曲調は、リスナーに幸せの余韻を残してくれる。
 奇をてらうことなく、ありのままの心情を真摯に綴ったこのアルバム。全ての音楽ファンに、深い深い充足感をもたらすことだろう。

Text by 池 佐和子

『バック・ホーム』
エリック・クラプトン-J.jpg



ワーナーミュージック・ジャパン
8月31日発売
CD
WPCR-12080
¥2,580(税込)

サイモン・クライミーとの共同プロデュースによる4年振りのオリジナル・アルバム。愛知万博"Love The Earth"のシンボル楽曲「セイ・ホワット・ユー・ウィル」のニュー・ヴァージョンを含む全13曲。レゲエからブルース、王道バラード、カヴァー作品まで、多彩な内容。

【エリック・クラプトン 日本オフィシャルサイト】http://wmg.jp/artist/ec/

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