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sacra、待望のニュー・アルバム『君がいる場所』をリリース!
「恋愛」をテーマに綴る11話の短編小説、
様々な想いや感情から覗かせる、彼らの思いを感じて欲しい!!

(初出『Groovin'』2005年8月25日号)

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 デビュー・シングル『イエスタデイ』で華々しくメジャー・デビューを果たしたトライアングル・バンド、sacra。注目の若手俳優、小栗 旬や西原亜希が出演してのビデオ・クリップも話題となり、1stアルバム『Silent Pictures』では、彼らが名古屋時代にストリートで活動をしていた頃の楽曲も含め、ストリート・ライブでは必至であろう瞬時に耳に届けるキャッチーなメロディーと共に、バンドとしてのライブ感を十分に発揮したアグレッシブな作品となり、彼らを知る上での"名刺代わり"の1枚としては最適な、バラエティに富んだ内容だった。その後も、フジテレビ系情報番組「めざましテレビ」内の企画で「手のひらを太陽に」をカバー、シングル『アンバランス』『かげぼうし』をリリースするなど、精力的に活動を続ける中、いよいよ待望の2ndアルバム『君がいる場所』をリリースする。
 正直に言えば、この作品を聴く前に多少の不安を抱いていた。前述の通り、sacraのメジャー進出は非常に話題性に富んだものであった。とかくロック・バンドにおいては、アンダーグラウンドな世界から地道に活動を続け、イベントやフェスなどのシーンの盛り上げがあって、「自分だけのお気に入り」を好む聴き手と共に成長する流れが良しとされる傾向にあるだけに、ある意味彼らの"飛び級"でのメジャー進出は、そのイメージだけでsacraを受け入れ難い人もいたかもしれない。だからこそ、1作目では挨拶代わりの"これまでのsacra"を表現した分、ロック・バンド、ミュージシャンとしての真髄を問われるのはこの2ndアルバムだと思うのだ。
 しかしそんな心配など不要だったようだ。むしろ彼ら自身が、バンドとしての現実をしっかりと受け止めていたのではないだろうか。この作品からは、並々ならぬ決意と進むべき道を自ら切り開いた「強さ」を感じる。まず驚いた事は、作品としての成熟度。前作は、ライブ感を全面に出したアップ・テンポなナンバーが多く、キャッチーなメロディーにノリの良さも加わったとてもポップな仕上がりだった。しかし本作は、細やかに、そして時に大胆に主張するギターリフ、楽曲に安定感をもたらすベース、そして言葉をじっくり伝える歌声と、3人のロック・バンドとしての成長をひしと感じると同時に、ストリングスや打ち込みといった随所に施されたアレンジの数々に、これまでのカラーを残しながらとことん楽曲に向い合ったであろう、前作にはない"深み"みたいなものを感じる。そして、彼らの永遠のテーマであろう「恋愛」を様々な視点から描き、喜びも悲しみも、切なさも憤りも包み隠さず描き出し、まるで11話の短編小説を読んでいるような気持ちになる。そして自分と重ね合わせられる身近さを持った色んな気持ちに出会える。その上どの楽曲においても、例えば失恋ソングであっても、失意の感情に迷い込むのではなく、失ってこそ気付く思い、前へ進もうとする強さがある。そう、辛く苦い経験も全てエネルギーに変えて、新たな一歩を踏み出すような、どこか明るい余韻をもたらしてくれるのである。
 ラヴソングでありながらその真なる思いは、まるで彼らそのものを映し出しているように感じる本作。より深化したポピュラリティ・センスは、ロック・バンドとして新たな可能性を引き出した事だろう。…何だか無性に彼らの笑顔に満ちたライブが見たくなった。なぜならこのアルバムから、彼らの迷いのない笑顔が思い浮かぶからだ。

Text by 浜田幸子(編集部)

『君がいる場所』
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プラティアエンタテインメント
9月7日発売
CD
PYCE-6
¥2,700(税込)

sacra、待望のニュー・アルバムをリリース!シングル「アンバランス」「かげぼうし」を含む全11曲を収録。ライブで人気の「最終ベル」も待望の音源化。「恋愛」をテーマに綴る11話の短編小説、恋愛の苦しさや切なを描きながらも、その感情を乗り越えて生まれる「強さ」を感じるアルバム。

【Sacra official web site】http://www.sacraweb.jp/

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