福山雅治

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福山雅治

通算20枚目となるシングルは、フジテレビ系月9ドラマ「スローダンス」主題歌。
長崎から上京してきた福山雅治だからこそ描くことができたであろう、
自分らしく今を生きようとしている、すべての人に聴いてもらいたい作品。

(初出『Groovin'』2005年8月25日号)

福山雅治-A.jpg 「東京」と聞いて、あなたはどんなことを思うだろう。あらゆる意味でこの国の中心であり、たくさんの"人"や"もの"で溢れている場所。東京で生まれ育った人はもちろん、電車で小一時間程度で出てくることのできる周辺の人にとっては身近で、特に強く意識をしたことは無いかもしれない。けれどもメディアを通してのみ知ることのできる地方の人間からすると、憧れのような、外国のような、なんとも不思議な感覚をおぼえる場所だ。東京でしか成し得ないこともたくさんあるから、多くの人が夢を持ってやってくる。けれどいざ上京してみると、想像した以上のさまざまな"驚異"に、何度となく押しつぶされそうになる。そしてとまどい、悩み、迷い、改めて"東京"というものの大きさを実感する。
 同じように福山雅治もまた、東京に夢を持って出てきた1人だ。現在36歳の彼が長崎から上京したのが18歳の時だというから、人生の半分を東京で生活しているわけだが、それでもいろんな思いを抱えながらやってきた"あの頃"のことはきっと今でも鮮明なのだろう。最新シングル「東京」を聴くと、実にそれがよくわかる。
 今作は、現在放送中のフジテレビ系月9ドラマ「スローダンス」の主題歌。妻夫木聡、深津絵里、藤木直人、広末涼子という、いかにも"月9"な豪華な顔ぶれながら、東京という街でそれぞれが何かしらの課題を抱え、誰かを思い、自分と葛藤し、人との関わりの中で自分なりの答えを見出していく、タイトル通りゆっくりとした時間を感じさせる、今までにありそうで無かった新鮮さを感じさせるラヴ・ストーリーだ。シンプルな内容なのについつい見入ってしまうのは、自分もまた東京で生きる1人だからかもしれないと思いながら、同年代の深津絵里の言動に自己を省みてみたりもする。
 そして、そんな主人公たちと同じく"東京で生きる"福山雅治がドラマのために書き下ろしたのが、通算20枚目という記念すべきシングルでもある今作で、ゆったりと進んでいく"大人の恋愛"を感じさせるバラードとなっている。と同時に「涙や弱さや素顔なんて、この街じゃ誰にも見せちゃいけないって思ってた」…といった、"地方出身者から見た東京"をとてもリアルに映した歌詞にも強く共感させられる。「隠さなきゃ笑顔にはなれない痛みも、忘れなきゃ前には進めない悲しみも抱いて」たくさんの人が生きる街、東京。誰もが何かしらの問題を抱えながら日々葛藤しているけれど、覚悟のような気持ちで上京してきた人間にとっては、また違った感覚が確かにある。そんな、"東京"へのさまざまな思いが、今作の随所には表れている。
 思ったよりも遙かに厳しい東京という街で何度となく負けそうになり、時に自分ですら信じられなくなって……けれどそんな中で見つけた光のようなもの。人の温かさや愛する人を思う気持ち、そしてこの街で自分らしく生きていこうとする確かな決意。シンプルな内容ながら、ただのラヴ・ソングとして終わっていないところがまた、とても福山雅治らしいと思える。「桜坂」に描かれた恋模様と「泣いたりしないで」にある人間ならではの温かさを併せ持ったとも言える今作。自分らしく今を生きようとしているすべての人に、ぜひ聴いてもらいたい作品だ。

Text by 二宮万里(編集部)

『東京』
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ユニバーサル J
発売中
Maxi Single
[初回限定盤]DVD付 UUCH-9009 ¥1,300(税込)
[通常盤]UUCH-5072 ¥1,050(税込)

デビュー15周年を迎える福山雅治の最新シングルは、シンプルながら深みのあるラヴ・ソング。ゆったり進んでいく"大人の恋愛"と、東京で生きる地方出身者の心情をリアルに映し出した、福山ならではの壮大なバラード。フジテレビ系月9ドラマ「スローダンス」主題歌。初回限定盤は「東京」のイメージクリップを収録したDVD付。

※写真は左が[初回限定盤]、右が[通常盤]です。

【福山雅治 公式サイト「ましゃまろ出版」】http://www.amuse.co.jp/fukuyama/mashamaro-shuppan/


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