ポール・マッカートニー

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ポール・マッカートニー

「LIVE 8」での熱いパフォーマンスも冷めやらぬ中、
ポール・マッカートニーが約4年ぶり通算20作目のソロ・アルバムをリリース!
今作を引っ提げて、9月からはアメリカ・ツアーと、いよいよ活動本格化!

(初出『Groovin'』2005年8月25日号)

ポール・マッカートニー-A.jpg 「LIVE 8」のスタートでのU2/ボノとの熱演、そして終盤の出演アーティストに囲まれての「ヘイ・ジュード」の大合唱・大団円と、自らの役どころ/役回りをきっちりやり切り、その健在ぶりを世界のファンに確認させてくれたポール・マッカートニー。そろそろ新作はどうなんだろうというところで、やはりニュー・アルバムの話が飛び込んできた。前作『ドライヴィング・レイン』より約4年ぶり、通算20作目となるアルバムのタイトルは『ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード』。マッカートニーいわく「仕事が進むにつれて本当にたくさん作ったよ、僕が何かを試して、それがうまくいかないと別のことを試してうまくいくまで続けるんだ。裏庭でゴーカートを作っている感じだったな」というコメントがそのままアルバム・タイトルにつながっているようである。
 原稿を作成している現在のところ、シングル・カットされる、アップ・テンポのピアノが力強くアルバムのスタートにふさわしいポップな楽曲「Fine Line」以外は未聴であるが、私的でシンプルなサウンドを用いて自らの楽曲のクオリティで勝負をした『マッカートニー』『マッカートニーⅡ』以来となる、ほとんどの楽器(ギター、ベース、ドラムス、キーボードのみならずブロックフルート、ハルモニウム、フリューゲルホーンまで)をポール自らが演奏して作り上げられた原点回帰的な作品となっているようである。上記の「Fine Line」「Promise To You Girl」といったお得意のPOPナンバーと、ポールが"ブラックバードの娘"と評する「Jenny Wren」、「At The Mercy」「Too Much Rain」といった私的で内省的なナンバーが同居する、現在の彼のありのままが綴られたものになりそうである。
 もうひとつのトピックスは、プロデュースにレディオヘッド、トラヴィス、ベック等を手がけるナイジェル・ゴドリッチの起用である。ポール・マッカートニーを熟知し、自身がビートルズからソロまで数々のアルバムをプロデュースしたジョージ・マーティンに「定評あるアーティストと一緒に仕事がしたい」と相談したポールにジョージが引き合わせたのがナイジェルであり、このコラボレーションが単なるベテランの回顧的なアルバムに終わらない、リアルな風合いを出させていることは確かである。2年間、ロンドンとロスで展開されたプロダクションは、楽器音のアタックが生で力強く、オーケストレーションはまろやかで心地よいメリハリのあるサウンドを作り出し(ナイジェルのプロデュース作、特にレディオヘッドあたりを連想させる)、作品の完成度を高めている。
 アルバム発売は日本先行で9月7日(通常盤/DVD付初回限定スペシャル・パッケージは、9月14日発売)、アメリカでは9月16日より37都市をまわる全米ツアーとの同時発売を予定している。こうして数年に1度、ポールの新作を聴き続けられるのは本当に幸せなことだと思う。今年の活動もいよいよ活発化していく中、まずはこのアルバムを聴き込んで噂されている来年3月の来日公演を心待ちにしたいと思う。

Text by 作山和教(宇都宮FKDインターパーク店)

『ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード』
ポール・マッカートニ-J.jpg





東芝EMI
CD
[限定盤]DVD付 9月14日発売 TOCP-66461 ¥3,500(税込)
[通常盤]9月7日発売 TOCP-66460 ¥2,548(税込)

ポール・マッカートニー、約4年ぶり20作目のニュー・アルバムは、自らが全ての楽器を演奏し、レディオヘッドなどで知られるナイジェル・ゴドリッチと共同プロデュースで作り上げた意欲作。9月14日には秘蔵映像満載のDVD付初回限定スペシャル・パッケージもリリース。

【ポール・マッカートニー 日本オフィシャルサイト】http://emimusic.jp/artist/mccartney/

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