布袋寅泰

6年ぶりのベスト盤、しかもただのベスト盤じゃない！
BOOWYとして活動を始めてから25年を目前に届けられた、布袋寅泰総決算！
全てのファンへ、感謝の気持ちを込めたオールタイム・ベストだ！

（初出『Groovin'』2005年11月25日号）

　日本のROCKシーンを語る上で欠かせないバンド、BOØWY。解散後もその音楽性やファッションは伝説となり、今も鮮明な記憶として残っている。そして、現在もBOØWYを目標としているバンド・キッズたちは数多くいるはずだろう。そしてBOØWYのギタリストとして活躍していた布袋寅泰は、解散後半年で『GUITARHYTHM』を発表し、ソロとしてセンセーショナルなデビューを飾った。また間もなくして、吉川晃司と電撃的にCOMPLEXという刺激的なバンドを結成。わずか2年弱の活動期間ではあったが、その衝撃を忘れる事はない。
　今回リリースされる『ALL TIME SUPER BEST』と名付けられたこのアルバムは、BOØWY〜COMPLEX〜布袋寅泰と、ギタリスト＆シンガーとしての25周年を飾るにふさわしいベスト・アルバムとなった。中でもやっぱりこのベストを語る上で避けられないのは、BOØWY時代の楽曲だろう。まずBOØWYの3rdアルバム『BOØWY』からは「BAD FEELING」。これには思わずニヤリ。何時聴いても変わらない格好良いイントロのフレーズを聴いてニヤリ。そしてシンガー・布袋がBOØWYの楽曲を歌うということだけで、またニヤリとしてしまう。自分が初めて聴いたBOØWYのアルバムは、ライヴ・アルバム『GIGS』で、その作品のイントロダクションに続く曲が「BAD FEELING」であり、ライヴが始まる興奮を布袋のギターで煽られたもんだ。また、布袋＝カッティングを確立したこの名曲は、本作の初回盤【DELUXE EDITION】の特典DVDに"ギター教則映像"としても収録され、秘密を徹底解剖されている（これは必見！）。そしてもう1曲、BOØWYのアルバム作品で初のオリコン・チャート1位を記録した『BEAT EMOTION』から「BEAT SWEET」を収録。これまたイントロが鳴った瞬間「おぉ〜！」とオーディエンスを熱狂させるナンバーだ。布袋だからこそ作れるそのフレーズを存分に味わって欲しい。ちなみに、どちらの曲も"25 YEARS ANNIVERSARY VERSION"と名付けられた新たなアレンジでの収録となっている。また、COMPLEXの曲を布袋が歌うということも目玉の1つ。あの吉川晃司の独特のヴォーカルがCOMPLEXの魅力の1つであったが、それを布袋はどんな風に歌うのか？ファンは確かめたくなるはずだろう。
　COMPLEXでの活動以降はまたソロに戻り、ROCKでPOP、そして時にセンチメンタルな楽曲をリリースし僕らを喜ばせてくれた布袋寅泰。特に「LONELY★WILD」での魂のこもった叫びはいつまでも僕たちの心に残り、きっといつの日か、その時を信じて頑張って生きようと勇気付けられた気がした。そして「スリル」「バンビーナ」などヒットを続ける中、クエンティン・タランティーノ監督の映画『KILL BILL』のテーマも手掛けるなど、日本の"布袋"は遂に世界の"HOTEI"となった。
　そして留まる事を知らない彼は、新曲「SONG FOR US」（本作に収録）を歌い、未来へ突き進もうとしている。間違いなく、布袋は2006年に向かって早くも走り出した。2005年最後に贈られる大きなクリスマス・プレゼントとなった本作に続いて、2005年が終われば本作を中心としたツアーも予定されている。日本のロックを塗り替えた栄光の軌跡が、全国を熱く切なくリフレインする。

Text by 大林 誠（浜松佐鳴台店）