編集長のおすすめ！

　前回は休載となったこのコーナー、今回も誌面の都合でシンプルに1タイトルを取り上げます。本当は他にもご紹介したいものが色々あるのですが、それはまたの機会ということでご了承下さい。さてその1タイトルとは、11/2にリリースされました総勢10人の歌姫によるアルバム『Apple of her eye りんごの子守唄』。勘のいい方ならお分かりかと思いますが、これ、ビートルズ・ナンバーをララバイという観点から解釈し、カヴァーしたもの。よって大人も子供も聴ける、そんな優しい作品集となりました。しかも参加メンバーが超豪華！畠山美由紀、chie、イノトモ、アン・サリー、原田郁子（クラムボン）、noon、ボファーナ、中納良恵（EGO-WRAPPIN'）、首里フジコ、湯川潮音という、個性的でしかも優しさ溢れる浮遊感ある歌声が特徴のシンガーが一同に会した、まさに夢のアルバムとなりました。
　聴いて頂けばハッキリ分かると思いますが、ララバイならではの母性本能から来ると思われる彼女たちの似て非なる強い個性が、それぞれ打ち消し合うことなく、むしろ相乗効果をもたらして、アルバム全体の優しげな雰囲気を一層引き立てています。ビートルズとララバイという取り合わせはちょっと意外かも知れませんが、すんなり心に深く入ってくるメロディとサウンドは、ビートルズ・ナンバーの素晴らしさを今一度再認識させてくれる、そんな切っ掛けにもなりそうです。ちなみにプロデューサーは、ワールドスタンダードの鈴木惣一朗さん。選曲や人選も含めた彼ならではのプロデュース手腕も、大きな聴き所の1つです。

Text by 土橋一夫（編集部）
（初出『Groovin'』2005年11月25日号）