安藤裕子

ARTIST PICK UP

安藤裕子

心の内面を動かす声を持つ安藤裕子。
待望のセカンド・アルバム『Merry Andrew』は、
シングル3曲他、昨秋話題となった月桂冠CMソングも収録。

(初出『Groovin'』2006年1月25日号)

昨年の秋に話題となった永作博美出演の「月桂冠」のCMを覚えていますか?別々の場所でふたつの赤い風船を見た夫婦。夫はそこから赤い金魚を2匹買って帰り、妻は夕食のおかずに赤い金目鯛を焼いて夫の帰りを待つ。同じものを見ても考えることは違う、夫婦の安藤裕子-A.jpg微妙な関係を綴った映像に彩りを添えていたのが安藤裕子の歌う「のうぜんかつら(リプライズ)」である。CM上ではアーティスト名の表記もなかったこの曲、未発表ながら口コミで良さが伝わり、安藤裕子の名前も知られるようになった。この曲を聴いて私が最初に思ったのは、よく言われるような一般的な「歌唱力」とは違って、フワフワと漂いながらもちょっと鼻にかかった高音部を持ち「女の色気」を感じさせる彼女ならではの歌声。まさに心の内面を動かす声だと思った。
さて今回ご紹介する、彼女のセカンド・アルバム『Merry Andrew』には、2005年4月以降にリリースされた3つのシングル曲と冒頭で記した「のうぜんかつら(リプライズ)」など14曲が収録されているが、どの作品もあくまでアルバム中の1曲として、とても居心地の良い場所に置かれているのが印象的。6、7、10曲目がそれにあたる。中でも個人的には6曲目から7曲目への流れが好きなのだが、皆さんはどう思いますか?こうした既発売の作品以外にも、アルバム中で一番陽気に思える作風の「ポンキ」などは(私の乏しい洋楽知識から)思うに、ポール・マッカートニーやギルバート・オサリバンあたりが好んで書きそうな雰囲気。けれどもちろん、どれも安藤裕子のオリジナリティがそこには満載である。
 そういえば彼女の好きなアーティストは、はっぴいえんどだとか。ちょっと聴く限りではこのアルバムにはそうしたはっぴいえんどの影響は見えない。でも奏でる音に耳をグッと傾ければ、歌われる言葉の端々からはっぴいえんどがこだわっていたという「日本語」で紡ぐ歌づくりに近い感性が伝わってきませんか?言葉を音にのせて伝えたい…そんな安藤裕子の思いが詰まった作品集。それだけにシンガー・ソングライターとしての成長をこれからも見守っていきたいアーティストである。

Text by 大野裕子(パルシェ店)

『Merry Andrew』
安藤裕子-J.jpg





cutting edge
発売中
CD
CTCR-14454
¥2,800(税込)

セカンド・アルバム『Merry Andrew』は、2005年4月以降にリリースされたシングル「あなたと私にできる事」「さみしがり屋の言葉達」「Lost child,」それに加え月桂冠CMテーマ・ソング「のうぜんかつら(リプライズ)」を収録。言葉を音にのせて伝える彼女の思いが詰まった作品集。

【安藤裕子 公式サイト「Andrew Page」】http://www.ando-yuko.com/

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