絢香

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絢香

「自分を信じることから全てが始まる」。
一見何の変哲もない、だが誰もが求め続けるメッセージを、
リアリティある言葉と叙情的なメロディーで綴る18歳。2006年最初の大型新人、デビュー!

(初出『Groovin'』2006年1月25日号)

絢香-A.jpg デビュー前にも拘わらず、国内外各方面から大きな注目を集めていた18歳の女子高生シンガー・ソングライター、絢香のデビュー・シングルがリリースされる。2003年、高1の時からヴォーカリストとして鍛錬を積むかたわら楽曲創作を始め、2005年夏には渋谷エリアでのライヴ・ハウスを中心に本格的なライヴ活動を開始。その圧倒的なライヴ・パフォーマンスが口コミで話題となる。そのライヴを見た、デモ音源を耳にした各方面からの熱烈オファーを受け、次々と大きなタイアップを獲得。さらにはMTVアジア10ヶ国で、彼女のミュージック・ビデオ「三日月」がスペシャル・ローテーションに決まるほか、"着うた"のみで配信されている同曲が驚異のダウンロード数を誇るなど、ざっと紹介しただけでもデビュー前の彼女の経歴は著しく輝かしいものであることがわかる。"期待の大型新人"の誕生だ。
 タイトル曲「I believe」は、竹野内 豊、チェ・ジウが主演することでも話題のTBS系ドラマ「輪舞曲 -ロンド-」(毎週日曜21時〜)の主題歌。憂いを多分にはらんだ洋楽的なセンスを感じさせるメロディーを、ピアノ、ストリングスでシンプルに彩ったバラード・ナンバーだ。18歳といえば着メロやゲーム・ミュージック等、デジタル・サウンドに侵食された世代。にも拘わらず、サウンドは生音重視。しかも過剰にドラマティックにすることなく、彼女の背丈分の音像でまとめあげられている。フェイヴァリット・アーティストにビートルズ、シェリル・クロウ、キャロル・キングを挙げる彼女だけに、このサウンド・プロダクションも納得だ。作詞・作曲はもちろん自身の手によるもの。青春のきしみとポジティヴィティを平易な語彙を用い、心情をストレートに表出してみせる。曲中、何度も繰り返される"信じることで全てが始まる気がする"というフレーズにも顕著だが、装うこと、遠まわしにすることで本質を見抜かれまいとするごまかしが感じられない。そこが、あまたのティーンズ・ミュージックと一線を画す点。自己慰安に寄らず、あくまでも聴き手に寄り添う歌。若い世代のみならず幅広い世代が共鳴できる楽曲である。
 しかし何より聴き手の心を惹きつけてやまないのは、その歌声だ。"思いの歌"とでも形容したいほど、確固たる意志と求心力を備えている。とはいえ、その歌唱力を誇示するわけでもなく、完成されすぎている風情でもなく、きっちりと抑制の効いた奥行きある歌を聴かせる。この恵まれたデビュー、各方面からの絶大な賛辞は、決して大げさなものではなく彼女の実力に見合うもの。1曲を通して聴き終わる頃にはそう確信できるはずだ。
 とはいえ、彼女はまだこの曲でスタートを切ったばかり。そしてなんといってもまだ18歳だ。固い実が徐々に色づき、豊かな果汁を内包してゆく過程を追っていきたいと思わせる蒼さも残している。音楽家として、また女性としてさまざまな経験を積むことによって今後さらにソングライティング、歌唱ともより磨かれていくであろう。若きシンガー・ソングライターの今後の動向に注目していきたい。

Text by 篠原美江

『I believe』
絢香-J.jpg




ワーナーミュージック・ジャパン
2月1日発売
Maxi Single
WPCL-10255
¥1,000(税込)

シェリル・クロウを敬愛する18歳のシンガー・ソングライターがデビュー。TBS系ドラマ「輪舞曲 -ロンド-」(毎週日曜21時〜)の主題歌に抜擢されたことからもわかるように、その圧倒的な歌唱力とソングライティングの才能は、すでにお墨付きです。初回盤はツアーチケット先行応募予約券付き。

【絢香 ワーナーミュージック・ジャパンによる公式サイト】http://wmg.jp/artist/ayaka/

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