槇原敬之

ARTIST PICK UP

槇原敬之

1年半ぶりとなるオリジナル・アルバムのテーマは"下町"。
人間味と懐かしさに溢れた、マッキーならではの名曲が詰まった、
一足早く春の温かさを感じさせてくれる作品。

(初出『Groovin'』2006年2月25日号)

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 TV-CMから流れてくる「遠く〜遠く〜」というマッキーの歌声に「おお〜っ」と反応してしまったのは私だけではないだろう。この「遠く遠く」の原曲は92年のアルバム『君は僕の宝物』に収録されている。「どんなに高いタワーからも見えない僕のふるさと」へ思いを馳せながら、今いる場所でしっかりと生きていこうとする主人公の姿に、きっとあの頃も、多くの人が自分を重ね合わせたことだろう。日々の生活の中で何かしら感じながらも、うまく言葉にできないもどかしさを、マッキーの音楽は魔法のように解き放ってくれた。
 そして2006年。デビュー15周年を迎えてもなお、温かさも人間らしさも変わらないマッキーの最新アルバムがいよいよ発売となった。今作のテーマは"下町"。そこに住む人たちは人間味に溢れていて、訪れた人も温かく迎え入れてくれる。初めてでも、"ふるさと"ではなくてもなんだか懐かしい。だから『LIFE IN DOWNTOWN』と名付けられた今作にも、さまざまな"懐かしさ"や"温かさ"が詰まっている。懐かしい場所と共に浮かんでくる、いろんな笑顔や"あの頃の自分"。そして思う。かつて描いた未来の自分に、今の自分はどれだけ近づけているのだろう……。
 アルバム・タイトルだけでもう胸がいっぱいになって、さらに収録タイトルを見ると、いきなり1曲目から「いつでも帰っておいで」なんて言われてしまって、今度は瞼まで熱くなる。こんな風に、聴く前から温かい気持ちになれる作品なんてそうそう無いし、そういった作品を生み出せるのもマッキーだからこそだろう。
 そんな風に、常に"人とのつながり"を大切にするマッキーならではの今作には、ダウンタウンとのコラボレーションで話題を呼んだ「チキンライス」のセルフ・カヴァーや、HOME MADE 家族のKUROを迎えた最新シングル「ほんの少しだけ」も収録されている。誰かと一緒になることで新しい発見が生まれる。可能性だってぐんと広がる。もちろんそこには笑顔が溢れている……そういったことを実感させるかのように、サウンドも、生バンドからエレクトリックなものまで、打ち込みを中心としながらもヴァリエーションに富んでいて、今までにありそうで無かったマッキーの新しい面を存分に味わうことができる。
 冒頭に挙げた「遠く遠く」の2006年ヴァージョンが今作には収録されている(初回生産限定盤のみ)。この中に「大事なのは"変わってくこと" "変わらずにいること"」という一節がある。時間の流れと共に人間は変わっていくけれど、大切なものを守りながらゆっくりと生きていければいい。そう、下町のようにいつでも温かく……。そんな風に思わせてくれるマッキーの最新アルバム『LIFE IN DOWNTOWN』は、一足早く春の温かさを感じさせてくれる作品だ。

Text by 二宮万里(編集部)

★NOW ON SALE★
『ほんの少しだけ』
槇原敬之-J(シングル).jpg
東芝EMI
発売中
Maxi Single
TOCT-4962
¥1,050(税込)

『LIFE IN DOWNTOWN』
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東芝EMI
発売中
CD
[初回生産限定盤]TOCT-26000
[通常盤]TOCT-26001
¥3,059(税込)

15周年を迎えたマッキーの最新アルバム。いつでも温かく迎えてくれる下町のように、人間味溢れるナンバーが満載。ダウンタウンとのコラボレーションで話題を呼んだ「チキンライス」のセルフ・カヴァーや、HOME MADE 家族のKUROを迎えた最新シングル「ほんの少しだけ」も収録。一足早く春の温かさを感じさせてくれる作品。

【槇原敬之 公式サイト】http://www.makiharanoriyuki.com/

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