ZARD

2006年、ZARDがついに始動！お待たせしました!!
話題沸騰中の2曲が両A面シングルとして登場!!
今年もZARDから日本中が目を離せない…。

（初出『Groovin'』2006年2月25日号）

　毎年様々なアーティストが華々しくデビューしていく日本の音楽業界の中で、常にZARDというアーティストは、雑誌やテレビのランキングの上位に名を連ねていたといっても過言ではない。なぜここまでファンやリスナーに支持されるアーティストなのかという疑問が自然と浮かんだ。
　そして1つの答えを自分なりに出してみた。それはZARDというアーティストが放つ音楽というものが、われわれの生活の一部として定着しているからではないかと思う。運動会の入場曲、24時間テレビのワン・シーンなど、様々な場所でヴォーカル・坂井泉水のやわらかく、爽やかな、艶のある美声を耳にすることが多々あるだろう。これは日本中でとても愛されているアーティストだということを証明しているのではないかと思う。このことは誰もが出来ることではなく、ZARDだから出来たといってもいいだろう。1曲1曲の個性、メロディを大事にする。それを変えずにずっとやり通すことを基本に活動してきたからこそ、ここまで人々に愛されるアーティストになれたのだろう。この文章を読んでいるあなたも記憶をたどれば、思い出の傍らには必ずZARDの音楽があるのでは…と信じたい。
　長々と私のZARDに対する気持ちを語ってしまったのだが、ついにZARDが年明け第1弾となるニュー・シングルをリリースする。両A面シングルという、2006年の活動のスタートにふさわしい1枚だ。気になる内容はというと、1曲目に収録されている「悲しいほど貴方が好き」は、坂井泉水のヴォーカルがやわらかく響く、しっとりとしたミディアム・ナンバーだ。現在、読売テレビ・日本テレビ系アニメ「名探偵コナン」の放送10周年記念エンディング・テーマとしてオンエア中である。そのため、耳にしたことのある方は多数いると思うが、お待たせしました!! ついに発売です!! と声を大にして言いたいぐらい良い作品に仕上がっている。前作「星のかがやきよ／夏を待つセイル(帆)のように」ではTV版、映画版の「名探偵コナン」とコラボレイトしたZARD。「運命のルーレット廻して」「少女の頃に戻ったみたいに」「明日を夢見て」を含めると今作で6回目となる強力なコラボレイトだ。人気アニメのエンディング・テーマということもあり、ファンの方はもちろん、大人から子供まで幅広い世代で親しめる楽曲に仕上がっている。歌詞については誰もが人生の中で経験する、人を好きになるということを坂井泉水らしい言葉で見事に表現している。恋愛ってこういうものなのだなと、改めて気づかされたというのが正直な感想だ。楽しい思い出。甘酸っぱい思い出。ほろ苦い思い出。もどかしい思い出。人それぞれだろう。そんな様々な形がある恋愛という答えなきテーマを、誰もが共感でき、それをここまで分かりやすく表現することができる表現力には、ただ感服するのみである。
　そして2曲目に収録されているのが、「悲しいほど貴方が好き」とは対照的な「カラッといこう！」である。こちらもタイアップが付いており、フジテレビ系「めざましどようび」の冬のテーマ・ソングとして1月から絶賛オンエア中のナンバーである。まさに土曜日の朝を彩るにふさわしい、爽やかなナンバーだ。ZARDが冬のテーマ・ソングを手掛けることは、すでに2005年の春から番組内やオフィシャルHP上で発表されており、ファンにとっては待ちに待った期待の1曲だろう。約1年という月日をかけてファンの元へ届くのだから否が応でも期待してしまうというものだ。誰でも冬の朝はとても寒くなかなか暖かい布団から出られないものだ。起きなければいけないのに「あと5分…あと10分」と、心の中で自分自身と格闘してしまう方が多々いるのではないかと思う。格闘してしまった時点でもうアウトなのだが、こう寒いと格闘せざるを得ない。そんな1日のはじまりでは、すっきりしないまま1日を過ごしてしまうのではないか。そんな方々には声を大にしてこの1曲をお薦めしたい。自宅、通勤中の車、電車、バス…どこでもいいからこのナンバーを聴いて、1日のはじまりを迎えてもらいたい。このナンバーを聴けば1日を頑張れる活力がもらえる、そんな1曲なのだ。各地で大雪が降りとても寒い冬を迎えたが、そんなネガティヴな空気を吹き飛ばせとZARDからの心温まる贈り物が届いたといえるだろう。
　今回のシングルは、ZARDらしい、ZARDにしか作ることができない1枚だと思う。様々な流行が生まれている現在の世の中で、ここまで自分のやり方、スタンスを崩さず活動できるからこそわれわれの生活の一部としてZARDが存在するのだろう。「初志貫徹」「継続は力なり」、そんな言葉が似合う数少ないアーティストである。そんな素敵なZARDとこれからも生活の中で様々なコラボレイトをしていきたいものだ。

Text by 江間宣行（大仁店）