ダニエル・パウター

ARTIST PICK UP

ダニエル・パウター

ピアノを基調としたシンプルで美しい、洗練されたメロディー、
そして聴くだけで温かい気持ちになれる優しい歌声…。
日本人の琴線に触れる要素をいくつも持ち併せた、孤高のピアノ・マン。確実に泣けます…。

(初出『Groovin'』2006年2月25日号)

ダニエル・パウター-A.jpg シンガー・ソングライター。自分自身の人生観、体験、何気ない日常を自身の言葉で赤裸々に描き、そしてメロディーに乗せて自身で歌う。僕達はそんなアーティスト達の曲によって、勇気づけられ、感動させられ、ふさいでいる時や無感覚の状態からも連れ出されたりしてきた。そう、遠いようで実は近い存在の彼らと共鳴し合ってきた。そんないつの時代のシンガー・ソングライター達に共通するもの、変わらないものといえば、"新鮮さ"だろう。その時代の新しさ、流行を追わないがゆえに生まれる、1つの空気感。今回紹介するこのダニエル・パウターも御多分にもれず、一連のシンガー・ソングライターの系譜に加わる"新鮮さ"を持ち併せた、近年稀にみる天才メロディー・メイカーだ。
 出身はカナダ。活躍の場は今現在、主にヨーロッパ。まず、フランスで火がつき、その後、ヨーロッパ各国に飛び火し、イギリス、アイルランド、フランスではゴールドディスクを獲得。そしてこの度、やっと日本デビューとなった。美しいピアノの旋律に、カーティス・メイフィールドを彷彿とさせるファルセット・ヴォイス、楽曲はどれも一度聴いたら忘れないほどのキャッチーさ。カナダの大自然(=静かな環境)の中で育ったライフ・スタイルが自ずと感じられる、ランディ・ヴァンウォーマー的な優しい歌の数々も見受けられる。どことなく、ブルー・アイド・ソウルな味わいに溢れた心地よいサウンドも魅力的で、フランス、イギリスで人気があるというのも納得の1枚。ハイライト・トラックはやはり「バッド・デイ〜ついてない日の応援歌」。"人は1日の出来事について色々文句を言うけど、そのほとんどは些細な事。世の中にはもっと辛い目に遭っている人がたくさんいる。だからくよくよせず、元気出せ"といった内容で、彼なりに僕らの背中を押してくれている。音楽一家に生まれ育ったというだけあって、どの楽曲も洗練されたクオリティーの高い作品だ。捨て曲、一切無し。そして特筆すべきはミッチェル・フルームがプロデュースという点だろう。ミッチェル・フルーム絡みというだけで"即買い"する方もいらっしゃるだろうが、それで正解。これまでのミッチェル・フルーム・プロデュース作品と遜色ない音作りなのでご安心を。ちなみにダニエルはミッチェルについて「彼は優れたキーボーディストでもあって、チェンバリンやオーケストロン、ワーリッツァーにフェンダー・ローズと何でも持っている。夢みたいだったよ。彼はいつでも、もっと書け、もっと歌えと勇気づけてくれた。パワーの源だ。"心配せず、自分の好きなことをやりなさい"ってね」と無邪気に語っている。
 この作品を語る上で、比較されるアーティストといえば、最近ではジェイムス・ブラント、ジェイソン・ムラーズ、マルーン5、さらにはベン・フォールズあたりだろうが、共通しているのは懐かしくも"新鮮"で落ち着く音作りをしている点。かつてのシンガー・ソングライター達の作品が、時代を経て今も"新鮮"なように、この作品もいつも聴くたび、毎回"新鮮"だろう。「新しい」というよりも、朝が毎日"新鮮"なように…。

Text by 大林 誠(大仁店)

『ダニエル・パウター』
ダニエル・パウター-J.jpg



ワーナーミュージック・ジャパン
3月8日発売
CD
WPCR-12260
¥1,980(税込)
※初回限定スペシャル・プライス

カナダ出身の大型新人SSW。どこか懐かしくも新鮮で、すんなり心に届く心地良いメロディー、ファルセットを利かせた印象的な歌声、そして美しくも切ないピアノの旋律。ジェイムス・ブラント、ジェイソン・ムラーズ、マルーン5などのファンの方、必聴です。

【ダニエル・パウター 日本オフィシャルサイト】http://www.wmg.jp/artist/powter/

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