Rie fu

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Rie fu

ロンドン〜東京。遠く離れた2つの場所で今を生き、
今を見つめるシンガー・ソングライター、Rie fuのセカンド・アルバム。
ロックの殿堂・プリテンダーズとのコラボレーションも話題必至です!

(初出『Groovin'』2006年3月25日号)

Rie fu-A.jpg ファースト・アルバム発表後、自身初のワンマン・ライヴを成功させ、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」エンディング・テーマ「I Wanna Go To A Place...」を手がけ、m-floのコラボレーション・アルバムにも参加。シングル「ねがいごと」では全編日本語詞にチャレンジするなど、日本と留学先のロンドンを行き来しながらも精力的かつ果敢な活動を続けていたRie fu。デビュー2周年という節目の日にリリースされるセカンド・アルバムは、相変わらず、時代や環境の変化に流されることなく、ひとつひとつの作品が大事に丁寧に作られている。育まれている、と言ってもいいかもしれない。そのことがまず嬉しい。
 一作を通してどこか穏やかな雰囲気に包まれていた前作に比べ、キリッと鮮明に魅力を打ち出しているのが本作の特徴。往年の洋楽ポップスからの影響が顕著な良質のメロディと、高いスタンダード性をもったソングライティング。英語詞、日本語詞を全く違和感なく行き来させる手法、人肌感覚と凛々しさを兼ね備えた歌唱。それらはそのままに、彼女の人間としての"芯"がより浮き彫りになってきた、そんな印象を受けた。ややもすると、彼女が音楽に向かう自然体すぎるほどの姿勢が、ナチュラル、オーガニック、透明感、究極は癒し系…そんなありきたりな言葉で一括りにされてしまいかねない危惧を感じることも少なくなかったが、今作での苦悩や疑問、強い意志、そして逞しさまでをも内包した音楽はいっそう味わい深く、作品にさらなる奥行きをもたらしている。
 今作は既発のシングル表題曲、新曲に加え、あのプリテンダーズのメンバーとロンドンでレコーディングされた3曲が収録されるというサプライズもあり。いずれもギタリスト、アダム・シーモアの妻で、シンガー・ソングライターでもあるスージー・ハグとRie fuとの共作によるナンバーで、彼女の持ち味を生かしつつ、新しい魅力を引き出すことに成功している。シングル曲同様、それらが決して突出することなどなく、違和感もまるでない。整合感も抜群だ。
 たとえば昔々。親の古いステレオからいつも流れていた、どこか遠い国の甘くて優しい音楽だったり。たとえば昔々…習い始めたばかりの英語にどこか気恥ずかしさと、少し大人になった喜びを感じ、洋楽が急に身近なものとして感じられたあの頃の英語の曲だったり。そんなどこか甘酸っぱい思い出と一緒に記憶されている、古きよき時代のポピュラー・ミュージック。Rie fuの音楽を初めて耳にした時、それにとても近い感慨を覚えた。時代は流れ豊富な種類の音楽を嗜むようになっても、何度でも帰りたくなる場所。そこに彼女のデビュー作が加わったのは昨年のこと。この新作も、心の中の同じ場所にいつの間にか入りこんだ。『ROSE ALBUM』…美しく気高い、だがポピュラー極まりないその花のように、時代や世代を超えた多くの人に愛されて相応しい作品だと思う。

Text by 篠原美江

『ROSE ALBUM』
Rie fu-J.jpg




Palm Beach
発売中
CD
[初回生産限定盤]DVD付 QQCL-11〜2 ¥3,360(税込)
[通常盤]QQCL-13 ¥3,059(税込)

「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」エンディング・テーマ「I Wanna Go To A Place...」のヒットも記憶に新しいRie fu、待望のセカンド・アルバム。シングル3曲を含む全13曲収録。初回生産限定盤のみライヴ映像、レコーディング風景などを収めたDVD付。

【Rie fu オフィシャルHP】http://www.riefu.com/

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