HYDE

約2年4ヶ月ぶりとなるニュー・アルバム『FAITH』が遂に到着！
前作『6 6 6』よりも、よりハードに進化を遂げたHYDEがここにいる！
本作でHYDEが表現する"愛"をたっぷりと召しあがれ。

（初出『Groovin'』2006年4月25日号）

気は早いが、季節は穏やかに春から梅雨を越えて、暑い暑い夏へと変わる。そんな夏の暑さ以上に熱く強さを含んだ音を、ソロ・アーティストとしても躍進し続けるHYDEが届けてくれた。常に先の世界を見せてくれるHYDEから最高の贈り物、それがこの全10曲収録のニュー・アルバム『FAITH』である。3ピース・バンドでロックを追求した前作『6 6 6』から約2年4ヶ月ぶりに届けられたこのアルバムは、収録曲であるシングル「COUNTDOWN」がオリコン・シングル・チャート堂々初登場1位を獲得し、「GLAMOROUS SKY」を歌う中島美嘉への楽曲提供、そして最新シングル「SEASON'S CALL」がオリコン・シングル・チャート初登場1位と、話題が絶えない中で最高に勢いがある状態でのリリースとなった。
　このニュー・アルバム『FAITH』は、聴いたその場がまるで「ん？なんだ？ここはライヴ・ハウスか!?」と思ってしまうほど、熱気、激しさ、そしてノリや勢いがこれでもかと詰め込まれている。まさに今のHYDE自身の勢いをダイレクトに感じることのできる"攻め"のアルバムといっていいだろう。前作『6 6 6』の時も思ったことだが、L'Arc〜en〜Cielで歌っているhydeと、ソロ・アーティストとして歌っているHYDEは歌い方が異なる。この微妙な歌い方の違いが、また違った空間を演出してくれていて、すごく心地よいのである。ラルクの時とは違った"心地よさ"をこのアルバムでもハッキリと感じることが出来た。そして注目すべき点は、作曲の半分がHYDEで、もう半分がHYDEと共同プロデュースをしているKAZ（ギタリストとしても参加）なので、そこには更なる新しい世界観が表されているということだ。幕開けを飾る曲は「JESUS CHRIST」。この曲は、"My Voice is reaching sky（我が声よ 天まで届け）"と歌う、1曲目にふさわしいスケール感抜群の曲だ。そして次に「COUNTDOWN」「MADE IN HEAVEN」と続く訳だが、この3曲の一気に駆け抜けるような感覚がたまらなくイイ。そして4曲目の「I CAN FEEL」は、ミステリアスな雰囲気を漂わせ聴き入ってしまう曲。これに続くのは、スケール感といい、サビの突き抜ける感じも申し分ない「SEASON'S CALL」。6曲目の「FAITH」、7曲目「DOLLY」はダイナミックなサウンドでぶっちぎり、次の「PERFECT MOMENT」では叙情的に聴かせ、ラストの「MISSION」「IT'S SAD」の2曲では、またノリノリなモードへと戻って幕を閉じる。それぞれの曲の配置、ヴァランスがとても良く、このアルバム1枚でHYDEのライヴそのものを感じてしまった。少しオーヴァーな言い方かもしれないが、このアルバム『FAITH」を手に入れる＝HYDEが歌っているライヴ・ハウスそのものを手に入れる、と言ってもいいのではないだろうか。
　現在、HYDEは全国ツアー中。全50公演とソロ史上最長＆最多のものとなっていて、全国でHYDEのシャウトが響いている事だろう。そしてこの『FAITH』に収録された楽曲たちは、更にパワー・アップしているに違いない。何より『FAITH』を聴いて感じること、そこは"愛"があるということだ。今作でHYDEの表現する"愛"を、しっかりと受け取っていただきたい。

Text by 石渡昭法（君津店）