フアネス

世界が恋に落ちた。"情熱の貴公子"フアネス、満を持して日本デビュー！
「世界中で最も影響力のある100人」と評されるスーパー・スターが、
最新アルバム『愛と情熱の絆』で日本中を虜にする。

（初出『Groovin'』2006年5月25日号）

　「この人誰？」…今回ご紹介するフアネスを見て、まず惹かれたのはその黒髪と美しい緑の瞳。世界中で大人気のトップ・スターを前に失礼な一言、そんな我が知識の乏しさを反省しつつ、彼を賞賛する多くの言葉からの一部を紹介すると、「世界でもっとも影響力のある100人」（タイム誌）、「世界でもっとも美しい50人」（ピープル誌）、「ラテン・アメリカのもっともホットなシンガー・ソングライター」（ニューヨーク・タイムズ紙）など、賛美の嵐！耳の早い日本人の間でも、フアネスの人気はただならぬものがあり、先日プロモーション来日を果たした際の熱狂的な歓迎ぶりから、注目度がかなり高いこともわかる。
　1972年コロンビア生まれのフアネス（"フアネス"は本名を縮めたニックネーム）は、子供の頃から音楽に興味を持ち、15歳の時にメタル・バンドを結成し音楽活動を開始したが、活動の拠点をロサンゼルスへ移し、2000年にソロで1stアルバムをリリース。2002年に発表した2ndアルバムは、アメリカのホット・ラテン・トラックス・チャートに47週連続でランク・イン。ビルボード・ラテン・チャートのトップ10には92週もエントリーするという新記録を打ち立てた。この成功によって、世界的スーパー・スターの座へと一気に駆け上がったフアネス。2004年に発表し世界的大ヒットを記録した3rdアルバム『ミ・サングレ』が今回ご紹介する『愛と情熱の絆』である。
　この『ミ・サングレ』含め、これまでのラテン・グラミー賞の獲得トータルは12を超え、収録曲の「追憶の黒いシャツ」がヨーロッパ諸国で大ヒット。その後、W杯本大会1次予選抽選会やノーベル平和賞など、世界的なイヴェントでパフォーマンスを披露。日本でもアルバム発売に先駆けて「追憶の黒いシャツ」がNHK教育テレビのスペイン語会話のエンディング・テーマに決定するなど、日本でのフアネス・フィーバーも秒読み段階といった感じである。
　さて、気になるアルバムの内容は、全編スペイン語による歌詞は世界デビューという面では異色の1枚。世界的なスーパー・スターとなったスペイン語圏のアーティストは、ほとんどが英語で歌い世界進出を果たしてきたが「夢を見るのも、考えるのもスペイン語。生まれてこの方、ずっとスペイン語を話してきたんだ」と語る彼にとって、このスタイルは最も自然なことであり、世界がそんな彼の姿を認めたともいえる。またラテン・ミュージックに根ざしながらも、自分自身が影響を受けたロックを取り込んだサウンドはサンタナ風あり、ハード・ロック風あり、アイドル・ポップス風もありと、バラエティーに富んだ内容。ネリー・ファータド、ブラック・アイド・ピーズをゲストに迎え、世界中で230万枚以上のセールスを誇る『愛と情熱の絆』。日本盤はボーナス・トラック収録、更にデラックス・エディションには5曲のPVと「日本のファンへのメッセージ」を収録したDVD付。ラテン男性のフェロモンに弱い人間としては、この部分はかなり楽しみでもあり「今からスペイン語を習おうか…」と、真剣に考えている所以でもある。

Text by 大野裕子（パルシェ店）