角松敏生

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角松敏生

Prayer=祈る人。これからの自身の音楽活動と、リスナーに向けての
"願い" "祈り"のメッセージをこめた、デビュー25周年記念オリジナル・アルバムをリリース。
常に新しいことに挑戦し続けてきた音楽家、角松の集大成。

(初出『Groovin'』2006年7月25日号)

角松敏生-A.jpg 1981年6月、シングル「YOKOHAMA Twilight Time」でデビューを飾った角松敏生。今年2006年はデビュー25周年のアニヴァーサリー・イヤーである。5月には沖縄を拠点に活動しているユニット"しゃかり"のメンバー、千秋とのデュエットによる記念シングル「Smile」をリリース。そしてつい先日、6月24日には6時間にも及ぶ記念ライヴをゆかりの地、横浜アリーナで成功させた。そのライヴでの1曲目が、5年間の"凍結"期間を経て、"解凍"第1弾シングルとしてリリースされた「Realize」だったと知り、深い感慨を覚える。今もまったく色褪せていない不変のリアリティ。25周年記念作品となる本作は、まさに「Realize」から、ひいてはアルバム『TIME TUNNEL』から繋がっている。そのことを確信させる内容だ。
 解凍後、彼の歌が向かったのは、先を見据えたメッセージ。それが最新作『Prayer』にも脈々と受け継がれている。そして本作で再確認できるのは、先鋭的なサウンド・クリエイターであり、優れたメロディ・メイカーであること以前に、人間の根源的な感情や欲求を吟味された言葉でストレートに歌う"生き様シンガー・ソングライター"であるということ。過去、『Reason For Thousand Lovers』『存在の証明』『愛と修羅』ほか、角松作品に幾度となく参加している世界的ドラマー、スティーヴ・ガッド、70年代から活躍するセッション・ベーシスト、アンソニー・ジャクソンという強力なリズム隊に加え、国内トップ・クラスのミュージシャンによる人間味溢れる卓抜の生演奏に支えられて、その姿はいっそう鮮明に浮き彫りになっている。
 「裏口を開けろ そろそろ行こうか」…自分自身へ、そして聴き手へ向けた力強いメッセージが放たれる「Movin'」。そして、タイトル・チューンである祈りの歌「Prayer」。互いに笑顔を願い、信じあうことを願う「Smile」(アルバム・ヴァージョン)と、アルバムのキーになる明確な意志を持った3曲を絶妙なポイントに置きながら、誰しもが感じる不安定な時代の空気、人間的な揺れを色濃く漂わせたナンバーを散りばめてゆく。「かなし花」では石垣島出身のミュージシャン、新良幸人の三線と歌をフィーチャー。この独特の手法は1989年の「OKINAWA」にまで遡るものではあるが、あくまでも角松音楽の中で他の名うてのミュージシャン同様、楽曲の一要素をになっているに過ぎない。「日照雨<SOBAE>」は波のSEから始まりホーン・セクションで爽快感を演出する、これぞ角松スタイルのサマー・チューン。旋律に角松節が息づく重心低めの「Mannequin」など、メロディ、サウンド・プロダクションにも、彼の音楽ルーツはもとより、これまで重ねてきた様々なチャレンジが血肉化していることをうかがわせるナンバーが目白押しだ。
 あらゆる音楽ジャンルを横断しながらも、聴き手を選ばぬ間口の広いポップスに仕上げていることはもちろん、本作はここ数作で最も華やぎがあり、スケール感のある作品になっている点も見逃せないところである。

Text by 篠原美江

『Prayer』
角松敏生-J(初回).jpg 角松敏生-J(通常).jpg



BMG JAPAN
7月26日発売
CD
[初回盤]BVCR-14032 ¥3,675(税込)
[通常盤]BVCR-11090 ¥3,059(税込)

デビュー25周年記念オリジナル・アルバム!今後の自身の活動とファンへの様々な"願い" "祈り"を込めた渾身の1枚。初回限定盤のみ48P写真集付スペシャル・パッケージ!シングル「Smile」との連動特典応募券、スペシャルプレゼント応募券付き。メーカー先着特典としてステッカーをプレゼント。

※写真は左が[初回限定盤]、右が[通常盤]です。

【角松敏生 official Site】http://www.toshiki-kadomatsu.jp/

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