絢香

ARTIST PICK UP

絢香

繰り返される毎日の中、「Real voice」が聞こえた…。
シンガー・ソングライター、絢香。18歳。
自ら考え紡ぎ出した真摯なこの想いを受け止めて欲しい…。

(初出『Groovin'』2006年7月25日号)

 "歌"という自己表現における至上命題は「人の心に伝え届けること」と言い切る18歳のシンガー・ソングライター、その名は絢香。1月にTBS系ドラマ『輪舞曲 -RONDO-』の主題歌「I believe」で一躍シーンを賑わせ、その圧倒的な声量と重厚かつ直情的な歌声は、ドラマ視聴者のみならず多くの人々を惹き付けた。2/7付けオリコン週間チャートで初登場3位を記録し、着うたでは女性アーティストのデビュー作としては最速の100万ダウンロードを突破した程だ。
 そんな絢香のニュー・シングル『Real voice』がリリースされた。「I believe」の荘厳な楽曲とは異なり、絢香が持つ天性の疾走感、リズム感、タイム感が全面に出た8ビートのドライヴ感溢れるミッド・アッパーのサマー・チューンに仕上がっている。またフジテレビ系月9ドラマ『サプリ』(主演:伊東美咲、亀梨和也[KAT-TUN])の主題歌に起用され、さらに多くのファンを獲得しアーティスト絢香が確立されるであろう。
 前述の通り、絢香は18歳…である。一連のつんく♂流れで10代のアーティストに対する驚愕さは麻痺している部分もあるが、絢香は一線を画する。それは自ら歌詞を書き、等身大の自分を歌っている点だ。「Real voice」での冒頭の歌詞「繰り返される every day 光求め」と、社会学者・宮台真司氏が唱える"終わり無き日常を生きろ"的な絶望感に唯ひれ伏すのみだけでなく、自らを鼓舞するかの如く"光求め"という僅かな希望を見出す。
 そして僕が一番惹かれた歌詞は…「本当の自分はどこ?」聞かれても すぐに答え見つかれない いっそう投げ出しちゃおうか…"失う"と"手離す"は違うみたい…という部分。昨今10代の犯罪が増加している事は周知の通りであり、凶悪を辿るいっぽうである。そこに巣食うのは"リセット感覚"だ。ゲームに予めシステマライズされたリセットという名の免罪符と、10代特有の純粋培養された自意識が相まって破壊行動に転化してしまう。だが絢香は"失う"と"手離す"の大いなる差異を自問自答する。オトナが、「駄目だよ、そんな事しては、君の完璧主義的な自意識を堅持しようと思っても世界は汚れているんだ。考えない事だ、人生は忘却する事なのだよ」って諭しても反発するだけだ。同世代の絢香が自分自身で考えた歌詞で歌い上げる事によってのみ、彼等彼女等に真に伝え得る事が出来ると思う。故、特に10代に聴いてもらいたいし、僕自身が10代だったら少なからず救いになったはずだ。
 カップリング曲「Peace loving people」も18歳の絢香の真摯な想いが伝わる楽曲だ。「テレビの中で子供たちの ひまわりみたいな笑顔が咲いていた 罪のない命が消えていく現状 今、私たちに何ができるんだろう?」。1987年生まれの絢香が感じる戦争とは?冷戦が終結を迎え、利権に特化したイデオロギー無き戦闘且つハイ・テクノロジーがもたらすヴァーチャルな殺戮…。「なぜ同じ人間なのに傷つけ合うの?人を好きになったり 気持ちは同じはず スクリーンに向かって 涙を流すことしかできないの くやしいよ この胸が」と。報道規制とプロパガンダによって正義を植え付けられ血を見る事なく、正当化される我々。しかし絢香は警鐘を鳴らす、自らの想いで…。僕はもう一度思い返す、"歌"とは「人の心に伝え届けること」と言い切った彼女の強い言葉を…。

Text by 大澤智芳(すみや本社 営業企画部)

『Real voice』
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ワーナーミュージック・ジャパン
発売中
Maxi Single
WPCL-10326
¥1,000(税込)

『I believe』で一躍シーンを賑わせた絢香のニュー・シングル『Real voice』リリース!1stツアーで大反響を呼んだ"躍動する絢香"が詰まった楽曲。絢香が持つ天性の疾走感・リズム感・タイム感が全面に出た、8ビートのドライヴ感溢れるミッド・アッパーのサマー・チューン!

【絢香 ワーナーミュージック・ジャパンによる公式サイト】http://www.wmg.jp/artist/ayaka/

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