カサビアン

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カサビアン

世界を熱狂の渦に巻き込んだ、次世代ロック・バンド、カサビアン。
前作から2年余り、ついに帝国からの攻撃が開始される。
その圧倒的な破壊力、恐れずに迎え撃つべし!

(初出『Groovin'』2006年8月25日号)

カサビアン-A.jpg 2004年、夏フェスに突如として現れた彼らは、まだアルバムも発売されていないバンドにも拘らず、会場に入場規制がかかるほどの大混乱を巻き起こした。当時、私はその場に居合わせることができなかったのだが、遭遇した人間から「なんかすごいことになってる」と聞かされ、初めてヤツらの音を聴いた時のとんでもない衝撃。それは今でも鮮明に覚えている。あまりに攻撃的且つ圧倒的なグルーヴ、デジタルな手法を用いながらも生々しく襲ってくる感情。コイツらただモンじゃない!と直感した。
 そして衝撃のデビューから2年。満を持して発売されるのが今作『エンパイア』。そのままならば「帝国」という意味で、さながらカサビアン帝国からの総攻撃とも受け取れるのだが、実は彼らがバンド内で興奮を表す時にこの言葉を使うらしい。ヴォーカルのトム曰く「ぶっ飛んでしまう時にエンパイアって表現を使うけど、このアルバムはもうエンパイアって呼ぶしかない」というコメントからも彼らの自信の程が伝わってくる。
 さて、まずは資料で届いたダイジェスト盤を聴いた楽曲の印象を紹介していこう。タイトル曲でもありリード曲の「エンパイア」。少し押さえ気味のヴォーカルにざっくりとしたリズム・パターン、相変わらずのワルそうな雰囲気を振りまきながら、テンポ・チェンジも含みつつの起承転結、静と動のメリハリの利いた秀逸なナンバーだ。続くのは意外にも正統派ロック・サウンドともとれる「シュート・ザ・ランナー」。わかりやすいリズムにキャッチーでフロア向きとも思えるノれる楽曲で、ロック好きなら間違いなく気に入るだろう。「ラスト・トリップ」は心境地とも感じる1曲。割とスタンダードなロックン・ロールかと思いきや、民族的なアプローチを施した意欲作で、個人的にはかなり気に入っている。スピード感と広がりのあるグルーヴが特徴的な「ミー・プラス・ワン」は、1stアルバム収録の「リーズン・イズ・トリーズン」を彷彿とさせる出来である。お気に入りのリスナーなら後述の「スタントマン」と併せて聴いて欲しい。特にデジタルな色合いの強い「アポニア」は繰り返される打ち込みサウンドと硬質的なドラムが混ざり合い、否が応でもリズムに乗せられてしまい、いつの間にかハマっている自分に気付く。そして「スタントマン」もお気に入りの1曲。裏打ちのハットのリズムが個人的にはツボなのだが、特にサビでの前のめりなヴォーカルに持っていかれる感じがたまらない。アルバムのエンディング周辺を飾る「ブリティッシュ・リージョン」はレコーディングのファースト・テイクをそのまま採用したというアコースティック・ナンバー。デジタル色のない優しい雰囲気であれ?こんな曲もやるんだ…と少し驚かされてしまった。
 アルバムの発売は9月6日。この原稿を書いているのは7月26日…長い、そんなに待たなければいけないのか。2004、5年と来日を果たしたものの、今年は今のところ予定がないのが歯がゆい限りなのだが、まずは8月23日にリリースされたシングル盤で気持ちを鎮め(いや、高め?)、この原稿が掲載される頃には来日決定!となっているのではないかと根拠のない期待をしつつ、その日を待とうと思う。カサビアン帝国バンザイ!!

Text by 柴崎元紀(向ヶ丘ダイエー店)

『エンパイア』
カサビアン-J.jpg




BMG JAPAN
9月6日発売
CD
BVCP-21481
¥2,548(税込)

前作とはまた違う"色"の楽曲群で仕上がった2ndアルバム。オススメは「エンパイア」「シュート・ザ・ランナー」「ラスト・トリップ」「スタントマン」。1stも名盤なので、まだ聴いていない人はぜひ併せて聴いてみて欲しい。日本盤はボーナス・トラック収録。先着でステッカーをプレゼント。

【カサビアン 日本オフィシャルサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/BV/kasabian/

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