アウトキャスト

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アウトキャスト

世界最強のヒップ・ホップ・ユニット、アウトキャストの
宇宙最強のニュー・アルバム『アイドルワイルド』が遂に完成!
彼らが描くPOPワールドは中毒性大です。ご注意を!!

(初出『Groovin'』2006年8月25日号)

アウトキャスト-A.jpg ラップが主体のヒップ・ホップ系ミュージックは、色彩に例えるならばブラックかグレイ、それに濃いブルーが混ざった色合いがイメージとして浮かぶ。もちろんヒップ・ホップ創生期には多種多様な音楽が融合されて成り立っていたため、そんな感じはあまり強く受けなかった。しかしここ10年もの間にマーケットで通用するヒップ・ホップの黄金律が確立されてしまったため、どうしてもそのゴールデン・ルールにのっとれば、淡色系の色彩になってしまうのが否めなかった。
 ジョージア州アトランタで誕生したアンドレ3000とビッグ・ボーイのユニット、アウトキャストの1994年に発表した1stアルバム『ストリートの掟』は、ループにサンプリングと生音をうまくフュージョンさせ、当時のヒップ・ホップ・シーンの中では一線を画す作品だった思う。だが、ブルー・グレイの色彩はちらついていた。しかし1998年発表の3rdアルバム『アクエミナイ』からその様相は一変。ファンクやジャズ、ブルース、サザン・ソウルといったブラック・ミュージックのルーツ的な音楽を巧みに消化して成立したアウトキャスト・ミュージックは、赤やオレンジといった暖色系の色合いがグッと増してきたのである。そしてこのアルバムがセールス的にダブル・プラチナム・ディスクに輝き、アウトキャストの進むべき音楽性の大きな舵取りとなった。続く4thアルバム『スタンコニーヤ』では、今まで誰も創造しえなかったアウトキャストのヒップ・ホップ・ミュージックが確立され、サイケデリックな色彩までも取り入れた「ミズ・ジャクソン」が全米チャートNo.1に輝き、ヒップ・ホップ・ファンだけではなく、ロック/ポップス・リスナーの心までも捉えて離さないようになっていった。そして5枚目のアルバム『スピーカーボックス 〜ザ・ラヴ・ビロウ』をリリース。このアルバムはアンドレとビッグ・ボーイが分かれての2枚組スプリット・アルバムとして発表された。しかも2人の個性が別々に表現されてもそのクオリティは微塵も下がることなく、アンドレの「Hey Ya!」とビッグ・ボーイの「ザ・ウェイ・ユー・ムーヴ」がなんと8週連続シングル・チャートの1、2位を独占するというビートルズも成しえなかった記録を樹立。彼らが創るカレイドスコープには、今までのヒップ・ホップでは考えられないピンクという色彩が加わった。
 そして『スタンコニーヤ』以来、6年ぶりとなるアンドレとビッグ・ボーイの共演アルバム『アイドルワイルド』が遂に完成。その先行シングル「マイティ・オー」はハーレム・ジャイヴ・キング、キャブ・キャロウェイの「ミニー・ザ・ムーチャー」をサンプリングした、ハジけたPOPナンバー。それに続くシングル曲「モーリス・ブラウン」のビデオ・クリップにはピンクのキャディラック(!)にピンクの犬(!!)までが登場し、彼らの描くキャンバスには、今まで用いられてきたヒップ・ホップの色使いからかけ離れた絵の具を使って表現されている。そして更にこのアルバムにはラグタイムやデキシーランド・ジャズ、ニューオリンズなどのセピア色も加わり、ブランニューなアウトキャスト・ミュージックを展開している。
 10年以上の間発展し続け、しかもとことんPOP。いつになったら僕はアウトキャスト・ホリックから解放されるのだろうか。

Text by 五味渕雅之(朝霞店)

『アイドルワイルド』
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BMG JAPAN
発売中
CD
BVCQ-24031
¥2,400(税込)

グラミー賞最優秀アルバムを受賞し、8週連続シングル・チャート1、2位を独占というビートルズを上回る記録を樹立したアウトキャストの最新作。サイケデリックなポップスに加え、南部の香りも加えたエンタテインメント性は、誰も真似できない宇宙最強のアルバム!初回生産分のみ特殊ジャケット仕様。先着でステッカーをプレゼント。

【アウトキャスト 日本オフィシャルサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/BV/outkast/

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