マデリン・ペルー

ARTIST PICK UP

マデリン・ペルー

"21世紀のビリー・ホリディ"ことマデリン・ペルーが、待望のニュー・アルバムを発表!
まるで恋愛短編集を読んでいるかのような心温まるナンバーの数々…。
豊潤な歌声とノスタルジックなサウンドがアナタの秋を彩ります!

(初出『Groovin'』2006年10月25日号)

マデリン・ペルー-A.jpg 秋は最も好きな季節である。頬を撫でる風はサラリと心地よく、スポーツ観戦やアウトドア・レジャーにもってこい。重ね着なんかのお洒落も楽しめるし、ダイエットを気にしなければ食べ物も美味しい。特に、柔らかな日差しの中でマグカップ片手に本を読んだりのんびりと散歩したり、心身ともにリラックスできる秋の休日は、至福の時間だ。そんな大切なひと時に重要になってくるのは、何と言っても音楽。あまりノリノリなのはダメ、かといってセンチメンタルすぎるのもNG。その場の空気にしっとりと馴染むようなものでなければいけない。大好きな秋をたっぷりと堪能するための音楽選びには、かなり神経を使うのだが、実を言うと今年のへヴィロテ盤はすでに決定済み。私の秋を彩ってくれるその1枚とは、何を隠そうマデリン・ペルーのニュー・アルバム!マイ・フェイヴァリットな女性シンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルの名盤『ブルー』と共に、幾たび巡ってくるこのシーズンを一緒に過ごす1枚となりそうだ。
 "21世紀のビリー・ホリディ" "ポスト・ジョニ・ミッチェル" "ジャジーなノラ・ジョーンズ"等、様々な異名を持つマデリン・ペルー。そんな輝かしい称号が上滑りするどころか、"それでも言い足りない!"と思ってしまうほど、彼女の歌声は筆舌に尽くしがたい。誰それ風という形容に収まりきるはずもなく、一瞬にして彼女だと分かる様な鮮烈な個性があるからこそ、人の心を打つ。2004年、8年ぶりの2ndアルバム『ケアレス・ラヴ』で、気鋭のジャズ・シンガーとして世界的な注目を集めた彼女は、まさに"天才肌"のアーティスト。10代の頃からその才能を開花させ、22歳で発表したデビュー・アルバム『ドリームランド』では、すでに現在のヴォーカル・スタイルを確立。完璧主義者ゆえに、デビュー盤と2ndアルバムの間には、長いブランクが空いてしまったり、天才にありがち(?)な謎の失踪事件を起こしたりと、順風満帆ではなかったにしろ、生み出される作品は常に高いクオリティを誇り、好評価を得てきた。マイペースな活動ながらも、彼女の魅力にとりつかれる音楽ファンは着実に増えている。
 そんな彼女の最新作が『ハーフ・ザ・パーフェクト〜幸せになる12の方法』だ。前作『ケアレス・ラヴ』同様、ジョニ・ミッチェルのパートナーとして知られるラリー・クラインが全面的にプロデュースを手掛けている。スティーリー・ダンのウォルター・ベッカーとの共作による1stシングル「悲しみにさよなら」や、グラミー受賞ソングライター、ジェシー・ハリスとの共作による「ア・リトル・ビット」「カリフォルニア・レイン」といったオリジナル曲はもちろん、多彩な選曲のカヴァー曲にも注目したい。チャップリンの永遠の名曲「スマイル」をはじめ、ジョニ・ミッチェルの代表曲をk.d.ラングとデュエットした「リヴァー」、アルバム・タイトルにもなっているレナード・コーエンの「ハーフ・ザ・パーフェクト・ワールド」、トム・ウェイツの「土曜日の夜」、セルジュ・ゲンスブールの「ラ・ジャヴァネーズ」等、それぞれタイプの異なる曲を見事に自分の色に染め上げている。その懐の深さに改めて感嘆!枠で括るとすればジャズ・ヴォーカルになるのだが、洋楽ファンから邦楽ファンまで、幅広いリスナーに聴いて欲しい。ノラ・ジョーンズに琴線を震わされた人であれば、彼女の歌声は、それに劣らない感動をもたらしてくれるはずだ。ノスタルジックな響きに満ちたこの珠玉の1枚は、秋から冬、そしてクリスマス・シーズンの定番アイテムとして、末永く愛され続けることだろう。

Text by 池 佐和子

『ハーフ・ザ・パーフェクト〜幸せになる12の方法』
マデェリン・ペルー-J.jpg



ユニバーサル クラシックス&ジャズ
発売中
CD
UCCM-9241
¥2,100(税込)
※初回限定スマイル・プライス

ジョニ・ミッチェルのパートナー、ラリー・クラインが全面プロデュースした3rdアルバム。スティーリー・ダンのウォルター・ベッカーとの共作による1stシングル「悲しみにさよなら」等、心温まるナンバーが満載。ノラ・ジョーンズ好きにもオススメします!初回盤はスリップ・ケース仕様+クリスマス・カード封入。

【マデリン・ペルー 日本オフィシャルサイト】http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/madeleine_peyroux/index.html

inserted by FC2 system