U2

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U2

グリーン・デイとのコラボレーション・ナンバー
「セインツ・アー・カミング」が話題のU2。来日公演を目前に、
25年以上のキャリアを総括するベスト・アルバムを緊急リリース!

(初出『Groovin'』2006年11月25日号)

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 『原子爆弾解体新書〜ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』の曲を中心に、25年以上のキャリアを総括するようなセット・リストで展開されているワールド・ツアー「VERTIGO//2006 TOUR」。諸事情で延期となっていた今年春の日本公演の振替公演が、11月末からさいたまスーパーアリーナで3DAYS実施が決定。全米以外でアリーナ級のステージを観ることができるのはここ日本だけ。さらに嬉しいことに、来日直前のグッド・タイミングでベスト・アルバム『ザ・ベスト・オブ U2 18シングルズ』が発売。厳選されたシングル曲16曲に新曲2曲追加収録の全18曲(通常盤はボーナス・トラック1曲収録の全19曲)。ツアー参戦前に、まず手に取っておくべき決定盤の登場である。
 U2のこれまでの道程で印象深いのは、まず『血塗られた赤い空の下』(ブラッド・レッド・スカイ)で大きな純白の旗を振っていたボノの姿。あの姿はいまだ鮮明に脳裏に焼きついている。宗教対立によって引き裂かれてしまった故郷・アイルランドの有様を歌い、親愛なる母のことを歌っていた頃(ボノはカトリック系の父・ボブとプロテスタント系の母・アイリスのもとに生まれたが、多感なミドルティーン期に母を失った)で、俗に言う"アイルランド期"。次に、ロックン・ロールを生んだ大国、アメリカで聖なる木(ヨシュア・トゥリー)を探す巡礼の旅をしていた頃。自らのルーツ・ミュージック、ロックン・ロールの源流に遡り、『魂の叫び』でB.B.キングというオリジネーターの1人と共演、"アメリカ音楽巡礼期"の成果を集大成した頃である。そして"狂騒の90年代期"。アメリカと格闘し、制し、"世界のU2"となった後に、ボノは髪にポマードをたっぷり付け2本角を生やし、あらゆるテクノロジーを駆使した豪華で巨大なステージ上で我々を誘惑し、挑発する悪魔を演じ始めた。そんなボノの姿に幻滅しそうになったが、実は、巨大化してしまったU2自体を現代の世界そのものに見立て、演じていたのであった。「世界は混沌としている、世界に蔓延る悪はすぐそばにいる、さあ君達はどうする?」と試されていたのだ。そして新世紀前に『オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド』を発表。80年代のU2を彷彿とさせる等身大の人間に立ち返り、最大のセールスだった『ヨシュア・トゥリー』に次ぐセールスを記録。最新作『原子爆弾解体新書〜ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』は、実はボノの父に捧げられており(2001年他界)、そこからは大人になったU2を垣間見られる。
 本ベスト・アルバムに収録のグリーン・デイとのコラボ曲「セインツ・アー・カミング」は、昨年のニュー・オーリンズを襲ったハリケーン・カトリーナの被害によって楽器や機材を失った地元ミュージシャンに、新しい楽器や機材を提供するためにシングル・リリースし、収益を全て寄付するらしい。ロック・スターになるよりも、ロックに何ができるかという方に活動重点を置いてきた四騎、U2の新しい計略…。時に直接的で政治的だったために揶揄されることもあったが、彼らの信念、姿勢はデビュー当時から今も全く変わっていない。

Text by 大林 誠(浜松佐鳴台店)

★DVD同時発売!
『ザ・ベスト・オブ U2 18ビデオ』
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ユニバーサル インターナショナル
発売中
DVD
UIBI-1016
¥3,200(税込)
※下記アルバムの限定盤のDVDとは収録内容が異なります。

『ザ・ベスト・オブ U2 18シングルズ』
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ユニバーサル インターナショナル
発売中
CD
[限定盤]DVD付 UICI-9015 ¥3,500(税込)
[通常盤]UICI-1051 ¥2,500(税込)

25年以上のキャリアでメンバー・チェンジを一度もせず、先に進むのを恐れずロックと愛を信じ続ける信念は、結成以来変わらないまま。厳選された16曲と新曲2曲で構成されたベスト・アルバム(通常盤はボ−ナス・トラック1曲追加収録)。これぞまさに"U2の真髄"。ミラノ公演のライヴ映像10曲を収録したDVD付き限定盤も発売。

【U2 日本オフィシャルサイト】http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/u2/

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