中村 中

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中村 中

「中村 中」ひとりの人間として…。日常にある葛藤を生々しい言葉で紡ぐ、
個性派シンガー・ソングライター、中村 中が1stアルバムを発表。
彼女が「伝えたいこと」を、心の耳で感じ取って欲しい!

(初出『Groovin'』2006年12月25日号)

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 様々なニュー・カマーがシーンに登場した2006年。その中でも、一際強烈な異彩を放ったのが中村 中ではないだろうか。"ナニナニ風"という形容では言い表せないスタイル、どこにも属さない独特の感性は、唯一無二の存在感だ。中村 中は戸籍上は男である。しかし男という自覚はなく、かといって女としての実感もない。彼女の紡ぐ歌には、男女間の恋愛を超えた、人間としての本質的な愛を感じてならない。人の心に潜む脆さや弱さ、日常にある葛藤を全てさらけ出し、虚飾を廃した人生観を生々しい言葉で私たちに伝えてくる。彼女は曲を作る際、メロディよりも歌詞が先だという。シンガー・ソングライターとしては珍しいタイプだと思うのだが、それは、歌によって伝えたいことが彼女の中に明確にあるからだ。聴いてくれるリスナーのために…というのはもちろん、何より素の自分を正直に表現できる最高の手法であるということが、彼女が歌い続ける理由なのだろう。聴き手は彼女の歌によって救われ、また彼女自身も歌うことで救われているのではないだろうか。
 2006年6月、鮮烈なデビューを飾った中村 中は、現在21歳。幼少の頃から歌に親しんでいたそうだが、10代初めに自分の声に違和感を覚え、人前で歌うことに苦痛を感じたという。大好きな歌、でも自分の声はキライ…変声期を迎え、日に日に募るそんなフラストレーションをピアノにぶつけたことが、音楽家・中村 中の第一歩だったようだ。デビュー前の時点でオリジナル曲は100曲を超え、岩崎宏美のアルバム『Natural』に楽曲提供するなど、ソングライターとしての非凡な才能を既に発揮していた彼女は、21歳の誕生日である6月28日にメジャー・デビュー。新人とは思えぬ堂々たるパフォーマンスを披露したavex主催の夏フェス"a-nation 06"や、自らの性に関して胸の内を語ったフジテレビ系音楽番組『僕らの音楽』への出演を通して、着実にJ-POPシーンに浸透すると共に、女優としても大器の片鱗を見せるなど、幅広いフィールドでの活躍にも注目が集まっている。
 そんな稀代の個性派シンガー・ソングライター、中村 中が、デビューからわずか半年で早くも1stアルバム『天までとどけ』をリリースする。記念すべきメジャー・デビュー曲「汚れた下着」を始め、15歳で初めて書いたオリジナル曲であり、性同一性障害をテーマにしたドラマ『私が私であるために』でも大きな反響を呼んだ「友達の詩」、ありのままの自分をさらけ出していい女になろう!という力強いメッセージが込められたポップ・チューン「私の中の「いい女」」といったヒット・シングルはもちろん、黒沢 清監督の新作映画『叫(さけび)』(2007年2月公開)の主題歌に決定している深みのあるバラード「風になる」や、有線放送に問い合わせが殺到した「愚痴」等、話題のナンバーが満載だ。
 現時点での中村 中が凝縮されたこの1枚は、2007年シーンの台風の目になるに違いない。彼女の「伝えたいこと」を、心の耳で感じ取って欲しい。

Text by 池 佐和子

『天までとどけ』
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avex trax
2007年1月1日発売
[CD+DVD]AVCD-23108/B ¥3,800(税込)
[CD]AVCD-23109 ¥3,059(税込)

待望の1stアルバム。メジャー・デビュー曲「汚れた下着」を始め、15歳で初めて書いたオリジナル曲「友達の詩」、TBS系・愛の劇場『いい女』の主題歌「私の中の「いい女」」、黒沢 清監督の新作映画『叫(さけび)』の主題歌「風になる」等、話題のナンバーが満載!DVDにはライヴ映像を3曲収録。

【中村 中 オフィシャルウェブサイト「中屋」】http://ataru-atariya.com/

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