Gackt

「野に咲いた花のように 決して負けずに強く咲きたい」。
新たな旅立ちの季節を迎えた若者たちに、Gacktから熱いエール！
多くのファンがCD化を熱望していた卒業ソングが遂にシングル・リリース！

（初出『Groovin'』2007年1月25日号）

　これほどまでに完璧にセルフ・プロデュースが出来る人間はいないのではないだろうか。それは、音楽だけの話ではなく"生き様"をもセルフ・プロデュースしているという意味でだ。自分のために、何よりファンのために、最高にカッコイイ存在であり続けること。そのためには、常人には計り知れない強い意志が必要だろうし、ストイックな自己管理も伴うはずだ。Gacktの活動フィールドは、音楽、映画、ドラマ、ヴァラエティ番組、更には小説の執筆…と広範囲に及ぶが、どんな場所に立とうと彼はいつでも彼らしく、常にスターのオーラを身にまとっている。卓越したセルフ・プロデュース力によって築き上げられた圧倒的な存在感は、周囲に左右されることなどない。先日スタートしたNHK大河ドラマ『風林火山』で上杉謙信を演じているGacktだが、そこでも、並み居る出演陣が霞むほどの強烈なオーラを放ち、彼にしか演じ得ない唯一無二の世界観を構築。これまでに見たこともない美しい戦国武将に、ノック・アウトされた人も多いことだろう。
　さて、韓国オリンピック公園から始まった、自身初となるアジア・ツアー"Gackt Live Tour 2005 DIABOLOS〜哀婉の詩〜In ASIA"や、中国最大のオーディション"超級女声〜Super Girl〜"出身の実力派シンガー、ジャ・ジャのプロデュースなど、昨年はアジアに根差した活動でも注目を集めたGackt。日本のみならず多方面でそのオーラを見せ付けている彼が、待望のニュー・シングルをリリースする。映画『機動戦士ZガンダムIII〜星の鼓動は愛〜』のテーマ・ソングとして話題を呼んだ「Love Letter」以来約1年ぶりとなる今作は、卒業シーズンにピッタリのナンバー！…というのも、この曲のバック・グラウンドには、実際の卒業式に絡んだ心温まるエピソードがあるのだ。発端は、Gacktがレギュラーを務めるラジオ番組に送られてきた1通のメール。兵庫県舞子高校の"環境防災科"に通うそのメールの送り主が、定員割れの危機を何とかしたいとアドヴァイスを求めたところ、阪神淡路大震災を経験しているGacktは、「まずは君が防災科の魅力を伝えられるような立派な先輩になれ」と力強いエールで激励。その縁がきっかけで、同校の卒業式に完全シークレットでGacktが登場、卒業生に向けて書き下ろし楽曲を生演奏するというこれ以上ないプレゼントが贈られたのである。この「野に咲く花のように」はそこでただ一度だけ歌われ、多くのファンからCD化が熱望されていた1曲なのだ。シンプルなアコースティック・サウンドが美しいこの曲は、学び舎から新しい世界へと旅立つ若者たちに向けられた前向きなメッセージに溢れている。"野に咲いた花のように 決して負けずに強く咲きたい"と繰り返されるフレーズからは、別れはひとつの始まり、これからの人生を強く生きろ…そんな熱い思いが伝わってくる。このGackt流応援ソングは、今春卒業を迎える学生たちはもちろん、日々一生懸命生きているすべての人々の共感を得るはずだ。卒業シーズンの定番曲として、末永く愛され続けていくことだろう。

TText by 池 佐和子