CHAGE and ASKA

ARTIST PICK UP

CHAGE and ASKA

CHAGE and ASKAが21枚目のオリジナル・アルバムをリリース!
長い活動で得た彼等の"うま味"が凝縮されていながらも、
新しい創造の意欲を感じさせる作品。

(初出『Groovin'』2007年1月25日号)

CHAGE and ASKA-A.jpg 昨年はヴェテラン・アーティストの活躍が目覚ましい1年だった。吉田拓郎やかぐや姫の「つま恋」コンサートが行われたり、サディスティック・ミカ・バンドが復活したりと、70年代、80年代に活躍した大御所たちが元気な姿を見せてくれた。日本の音楽シーンは常に若い世代の台頭というかたちで塗り替えられてきたが、ここ数年はもはや象徴的な新ジャンルやカリスマの登場が少なく、逆にロック、ポップスが一番魅力的だった時代に立ち返るような動きを見せている。豊富な経験・知識や潤沢な感性によって生み出される"大人による音楽"の需要が高まってきている最近の状況はとても健全だと思う。
 本稿の主役、CHAGE and ASKAもそんな音楽を生み出すヴェテラン組だ。1979年にデビューし、91年に「SAY YES」で驚異的なヒットを記録。その後は日本だけに留まらずアジア各国にも活動の場を広げ大成功を収めるなど、常に第一線を走り続けているアーティストだ。デビュー25周年記念ライヴを行った2004年以降はソロ活動に専念していた2人が、再びCHAGE and ASKAへと活動をシフトし、この度21枚目のオリジナル・アルバムを完成させた。
 1曲目「パパラッチはどっち」の歌い出しのバックに被さる中期ビートルズを思わせる重厚なストリングスを聴いて、本作のクオリティは問題なしと確信。ビリー・ジョエルの『ナイロン・カーテン』辺りを思わせるエッジが効きつつも混沌としたサウンド・メイクと、粘っこいASKAのヴォーカルが唯一無二の世界を醸し出す。CHAGEの書いた「ボクラのカケラ」も気に入った曲だ。弾むようなリズムにCHAGEの溌剌とした声が元気を運んできてくれる。サンバ調の「36度線 -1995夏- album ver.」や、ラップ風のヴォーカルが聴ける「僕はMusic」、アカペラ・コーラスで始まるバラード「crossroad〜いまを生きる僕を〜 album ver.」などヴァラエティに富んだ曲が続くが、どれもがCHAGE and ASKAとしての長い活動で得た"うま味"が凝縮されているのだ。それは壮大なゴスペル・ミュージックに仕上がった最後の曲「Man and Woman」にも顕著で、この曲のドラマティックな展開から生まれる説得力は、若いミュージシャンには決して出せないもの。聴けば誰もが素直に感動してしまう魅力がある。
 ヴェテラン・アーティストは、ともすればアーティスト・パワーが一番あった頃の過去のイメージを再生産するような活動になりがちだ。しかしCHAGE and ASKAはそのような後ろ向きな姿勢にはなっていない。新しい創造の意欲を感じさせる本作をぜひ若い人にも聴いて貰いたい。

Text by 高瀬康一(編集部)

『DOUBLE』
CHAGE and ASKA-J(CD).jpg




ユニバーサル シグマ
発売中
CD
UMCK-1217
¥3,000(税込)

最近はソロ活動を続けていた2人が再びCHAGE and ASKAへと活動をシフトし、完成させた21枚目の最新アルバム。2004年にシングルでリリースした「36度線 -1995夏-」「光の羅針盤」「僕はMusic」「crossroad〜いまを生きる僕を〜」のアルバム・ヴァージョンを含む全10曲収録。

『DOUBLE DVD』
CHAGE and ASKA-J(DVD).jpg




ユニバーサル シグマ
発売中
DVD
UMBK-1116
¥3,000(税込)

ニュー・アルバム『DOUBLE』と同時発売されたPVコレクション。「36度線 -1995夏-」「僕はMusic」のシングル・ヴァージョンに加え、本作のために撮影されたライヴ形式によるアルバム収録曲を4曲収録。更にメイキング映像も収めた、ファン必見の内容となっている。

【CHAGE and ASKA Official Web Site】http://www.chage-aska.net/

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