宇多田ヒカル

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宇多田ヒカル

詞、メロディ、そして歌に、さりげなく表出された新しい境地。
表現者としての充実ぶりが窺える、宇多田ヒカル2007年第1弾シングル。
TBS系ドラマ『花より男子2』イメージ・ソングを含む全5曲を収録。

(初出『Groovin'』2007年2月25日号)

宇多田ヒカル-A.jpg 2006年の宇多田ヒカルはとにかく活動的だった。6月に4年ぶりのオリジナル作『ULTRA BLUE』を発表後、何と6年ぶりとなる全国ツアーを2ヶ月に渡り敢行。9月にはビデオ・クリップ集『UH4』を、12月にはライヴDVD『UTADA UNITED 2006』をリリース。さらに彼女は"童謡"までも作ってしまう。可愛らしく、温かく、やっぱりどこか切なく…一度聴いたら絶対に忘れられない「ぼくはくま」は、NHK『みんなのうた』での大反響と共にCD化。幅広い世代の支持を、さらに子供とその親にまで広げたのが昨年末の彼女である。
 明けて2007年。突然飛び込んできた新曲リリースのニュース。ドラマ『花より男子2』のイメージ・ソングに起用され、劇中で初オンエアされたのが本作「Flavor Of Life」、そのバラード・ヴァージョンである。彼女自身が原作コミックの大ファンで、番組からのオファーを快諾して書き下ろされた情緒豊かなバラードだ。心の深淵から静かに湧き上がってくるような、繊細さと力強さを併せ持った歌声は、生きた情感を伝えるのに充分であり、一方ストリングスを加えた生のアンサンブルは、詞や曲のもつ世界観を過不足なく表現する。歌の主人公と自身を交錯させながら、もう1人の自分が自分を見ているような不思議。ハッとするような、だが衒いのない語彙を用いた描写力に優れた詞はデビュー時と変わらず瑞々しいが、大人になってしまった自我や、過ぎ去った恋への追憶は、24歳になった今だから書けるものだろう。
 ドラマはいわゆる"痛快青春ラヴ・ストーリー"。だが、タイトルは「Flavor Of Love」ならぬ「Flavor Of Life」。光の見えない時代を憂いても、忙しい毎日を送っていても、恋愛が心の大部分を占めてしまう。そんな瞬間もある、それが人というものだろう。恋する気持ちを人生の大切なひとコマと捉える。そんなラヴ・ソングが今、宇多田ヒカルによって歌われる。その事実がとても嬉しい。

Text by 篠原美江

『Flavor Of Life』
宇多田ヒカルーJ.jpg




東芝EMI
2月28日発売
Maxi Single
TOCT-40095
¥1,100(税込)

TBS系ドラマ『花より男子2』イメージ・ソングとなった「Flavor Of Life -Ballad Version-」が収録された、宇多田ヒカルの2007年第1弾シングルがリリース。CDのみで聴ける「Flavor Of Life -Antidote Mix-」を含む全5曲を収録。

【Hikki's WEBSITE】http://www.emimusic.jp/hikki/
【U3MUSIC.INC】http://www.u3music.com/

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