いきものがかり

2006年「SAKURA」で鮮烈なデビューを果たした、いきものがかり。
泣き笑いせつなポップ3人組が、1つの「街物語」を完成させた！
待望の1stフル・アルバムをリリース。

（初出『Groovin'』2007年2月25日号）

　いきものがかりとの出会いはちょうど1年前。TVKのフワフワ系音楽番組『saku saku』で、神奈川出身アーティストからなのか、頻繁にデビュー・シングル「SAKURA」がオンエアされていた。「さくら　ひらひら　舞い降りて」…サビのメロディが、いつまでも頭から離れなかったのを覚えている。
　いきものがかりは1999年2月に高校の同級生だった水野良樹と山下穂尊によって結成。同年12月には同級生の妹、吉岡聖恵が加入。バンド名は水野と山下が小学校1年生の時、一緒に「生き物係」をしていたことに由来する（…というのはあまりにも有名な話）。地元である海老名、厚木を中心に路上ライヴやライヴ・ハウスで精力的に活動を続け、2006年3月15日にメジャー・デビュー。デビュー・シングル「SAKURA」は"DENPO115 東日本エリア"CMソングに起用され問い合せが殺到、大きな反響を呼んだ。4月には吉岡の地元である厚木でフリー・ライヴを行い2,000人を動員。「SAKURA」はオリコン17位を記録した。その話題冷めやらぬ5月31日には、2ndシングル『HANABI』をリリース。6月には水野の地元である海老名で『HANABI』の発売記念フリー・ライヴを行い、5,000人を動員した。2ndシングルはオリコン5位を記録。10月には3rdシングル、12月に4thシングルを立て続けにリリース。活動が活発になる中、11月には初の全国ツアー「いきものがかりのみなさんこんにつあー!! 2006」をスタートさせ、各地にいきものがかりの音と熱気を届けた。
　待望の1stフル・アルバムは、大ヒット・シングル「SAKURA」から始まる。シングル6曲を含む、色とりどりの13曲にボーナス・トラックとして「SAKURA -acoustic version-」を収録（個人的にはこちらのver.の方が気に入ってしまった…）。いきものがかりらしい爽快なギターとハーモニカが奏でるサウンドに、吉岡の伸びやかな声が歌い上げる春夏秋冬の色とりどりの心情と情景は、ひとつの「街物語」として全国の様々な場所や人との繋がりを感じさせ、多くの人の心に響く作品になるのではないだろうか。デビューから1年、様々な活動を重ねより逞しくなった3人の姿を感じ取ってもらいたい。

Text by 勝又祥治（御殿場店）