編集長のおすすめ!

編集長おすすめlogo.png

杉真理-A.jpg 今回は最近リリースのJ-POPS作品を中心に、注目の洋楽再発や書籍までご紹介します。この中でもやはり注目なのは、杉真理関係のリイシュー4作品です。杉真理と言えばヒット曲「バカンスはいつも雨」や「いとしのテラ」、それに大滝詠一、佐野元春と共に作り上げた名盤『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』などでお馴染みですが、その彼もデビューが1977年ですから、今年めでたく30周年を迎えました。これに合わせた30周年プロジェクトは既に動き出しておりますが、その第1弾として3/21に、ビクターからのデビュー作でマリ&レッド・ストライプス名義でリリースした『Mari & Red Stripes』と、2ndアルバム『Swingy』(杉真理&レッド・ストライプス名義)が、そして松尾清憲や伊豆田洋之らと結成したピカデリーサーカスのアルバム『Piccadilly Circus』『Summer of Love』の計4枚が、初回限定生産の紙ジャケで発売されました。しかもボーナス・トラックとして初CD化となる貴重音源が多数プラスされており、24ビット・デジタル・リマスタリングで音質も飛躍的にアップしました!
 なおこのレッド・ストライプスとピカデリーサーカスについて考えるとき、この2つを繋ぐ重要人物の存在を忘れてはなりません。それは…竹内まりや。ビクター時代のアルバムはレッド・ストライプスという杉真理を中心に結成されたグループ名義でありながら、実質的には杉真理のソロ的性格を持った作品なのですが、ポール・マッカートニーのウイングス的な考え方でレッド・ストライプスのメンバーとして流動的に参加していた方々の功績も忘れてはなりません。後にソロで大活躍する竹内まりや、安部恭弘をはじめ、山下達郎のセッションでお馴染みの青山純、後にRCサクセションに加入する新井田耕造、キーボーディストとして活躍するエルトン永田など錚々たるメンバーがここで初々しい演奏を聴かせてくれる、まさに70年代とその後の80年代を橋渡しする重要な作品なのです。杉真理の作品もロック寄りのものからAORやラテン・テイストまで幅広く、しかも彼お得意の美メロは当時から変わらないことがよく分かります。今回は当時を振り返ってのロング・インタヴューや、竹内まりや、安部恭弘、桐ヶ谷仁による特別寄稿などを掲載した豪華な内容です。
 そしてピカデリーサーカスですが、昨年12月の竹内まりやのシングル収録曲「Never Cry Butterfly」が彼らの作品のカヴァー(しかもその演奏はピカデリーサーカスによるもの)であったことから、オリジナル・アルバムの再発が待たれておりましたが、今回豪華W紙ジャケ仕様でリイシューされました。ブリティッシュ・ロック/ポップスをベースに様々なエッセンスが加えられた作品は完成度の高いもので、しかも今回はデビュー前のデモや2004年のライヴなどボーナス・トラックも充実。詳細な書き下ろしライナーや対談テキストと共に、お楽しみ下さい!
 そして杉真理、松尾清憲もコーラスやアレンジなどで参加した注目のカヴァー・アルバム『Voice Colors〜あなたといたころ〜』も発売されました。今年は杉真理の活動にどうぞご注目を!

Text by 土橋一夫(編集部)
(初出『Groovin'』2007年3月25日号)

マリ&レッド・ストライプス
『Mari & Red Stripes』
マリ&レッド・ストライプス-J.jpg




ビクターエンタテインメント
発売中
CD
VICL-62343
¥2,500(税込)

杉真理のデビュー30周年を記念してのリリース第1弾となるのは、ビクター時代の2枚とピカデリーサーカスの紙ジャケ・リイシュー。本作は1977年に発表された記念すべきデビュー・アルバムで、竹内まりや、安部恭弘、青山純、新井田耕造ら後にシーンで大活躍するメンバーが集結した名盤。AORテイストを取り込んだ「トゥナイト」などに象徴されるサウンドも素敵。デビュー前のデモや未発表別ミックスなど、ボーナス・トラックも6曲を追加収録。

杉真理&レッド・ストライプス
『Swingy』
杉&レッド・ストライプス-J.jpg




ビクターエンタテインメント
発売中
CD
VICL-62344
¥2,500(税込)

1978年にリリースされた2ndアルバムを紙ジャケでリイシュー!ポップさとロック・テイストをバランスよく含み、アメリカン・ポップスやAOR的アプローチの楽曲からラテン・テイストのものまで、杉真理の音楽的な幅の広さを実感できるヴァラエティ豊かな内容が魅力的な1枚。竹内まりや、安部恭弘らによるコーラスも心地よい。ボーナス・トラックとして、本作リリース直前に日本工学院でレコーディングされていた未発表デモ6曲を追加収録。

ピカデリーサーカス
『Piccadilly Circus』
Piccadilly Circus-J.jpg




SMD
発売中
CD
MHCL-1019
¥2,500(税込)

1999年リリースの1stアルバム。杉真理、松尾清憲、上田雅利、伊豆田洋之、風祭東、橋本哲という6人の類い希なる才能が集まり、ブリティッシュ・ロック/ポップスの伝統に則り、そこに独自の感覚をプラスした本作はシーンに衝撃を与えた。竹内まりやが昨年末にリリースしたシングルでカヴァーした「Never Cry Butterfly」のオリジナルは本作に収録!結成当初の1996年録音の未発表デモをボーナス・トラックとして追加、しかもW紙ジャケでの再発。

ピカデリーサーカス
『Summer of Love』
Summer of Love-J.jpg




SMD
発売中
CD
MHCL-1020
¥2,500(税込)

2003年リリースの2ndアルバム。以前にも増してサウンド的にも幅広くカラフルでポップになった作品群は今聴いても鮮烈で完成度も高い。今回は2004年2月にON AIR OSAKAで行われたライヴから、上田雅利のソロ曲「Daddyはロックンロール中毒」やお馴染み「Never Cry Butterfly」など5曲をボーナス・トラックとして追加。もちろんライヴ音源は初製品化!ライヴも凄いピカデリーサーカスを、是非実感して頂きたい。初のW紙ジャケでの再発!

V.A.
『Voice Colors〜あなたといたころ〜』
Voice Colors-J.jpg




ビクターエンタテインメント
発売中
CD
VICL-62319
¥3,045(税込)

大貫妙子、矢野顕子、EPO、かの香織、平松愛理、ミズノマリ(paris match)、加藤沙香菜(orange cafe)が新旧の名曲をカヴァーした興味深い作品集が登場!しかもGAOの「サヨナラ」をかの香織が、オフコースの「やさしさにさようなら」を大貫妙子が、キリンジの「エイリアンズ」をミズノマリが、というように、意外性のある楽曲とアーティストとの組み合わせが斬新。でもこれが絶妙にマッチ。杉真理、松尾清憲、林立夫、鈴木茂、堂島孝平、山弦ら豪華メンバーも参加!

大貫妙子
『Boucles d'oreilles(ブックル・ドレイユ)』
大貫妙子-J.jpg




SMD
発売中
CD
MHCL-1030
¥3,000(税込)

2年ぶりとなる通算26枚目のアルバムは、かつて人気を集めた『PURE ACOUSTIC』の続編とも言うべき素敵なセルフ・カヴァー集。毎年行ってきたクリスマス・コンサートでのアコースティック・セットをそのままレコーディングに起用し、コンサートの雰囲気そのままの優しさ溢れる作品に仕上がった。しかも選曲は「黒のクレール」「突然の贈もの」から「Shall we dance?」「彼と彼女のソネット」まで幅広く、彼女のシンガーとしての素晴らしさを体感できる好作品!

ザ・スタイル・カウンシル
『アワ・フェイヴァリット・ショップ+23
      〈デラック・エディション〉』
STYLE COUNCIL-J.jpg



ユニバーサル インターナショナル
発売中
CD(2枚組)
UICY-7314〜5
¥3,600(税込)

1985年に発表された彼らの代表作である2ndアルバムが、ボーナス・トラック多数追加の2枚組、デラックス・エディション(輸入盤国内仕様)で遂に登場!その後、いわゆる渋谷系なるムーヴメントにも大きな影響を与えた彼らだが、最近のポール・ウェラーの活躍もあってジャムやスタイル・カウンシル時代の作品に再度スポットが当たるようになったのは嬉しい限り。アルバム未収のシングル「Shout To The Top」をはじめ、デモやクラブ・ミックス、ライヴなど追加の充実の内容!


著:サエキけんぞう
『さよなら!セブンティーズ』
さよなら!セブンティーズ-J.jpg




クリタ舎/ごま書房
発売中
書籍
¥1,470(税込)

最近は再びパール兄弟としての活動も活発化しているサエキけんぞうの最新書。多感な学生時代を音楽と共に過ごした著者の私的な音楽体験記だが、やはりご自身で目にされたことを自分の言葉で表現しているだけに、リアリティーがある。大滝詠一やティン・パン・アレー、山下達郎との関わりなど、目から鱗のエピソードが満載で、70年代当時の熱心なファン目線と、時々挟まれる今から思えばというプロの考察がクロスするあたりがいかにも著者らしい、興味深い1冊だ。

inserted by FC2 system