B'z

B'z、待望のニュー・シングルは、大空に思いを馳せるバラード「永遠の翼」と
孤高の叫びにも似たギターが胸を打つ「ロンリースターズ」の2曲を収録。
どちらも話題の映画主題歌に起用！

（初出『Groovin'』2007年4月25日号）

　2007年を迎え、B'zが新たな作品をリリースする。昨年は最新アルバム『MONSTER』、そして全国ツアー「B'z LIVE-GYM 2006 "MONSTER'S GARAGE"」によって、"ロック・モンスター＝B'z"の驚異を改めて実感させられたのは記憶に新しいが、今回発売されるニュー・シングルは話題の映画主題歌2曲を収録した作品。静と動を巧みに交差させる"表現者 B'z"の姿を堪能する事が出来る1枚となった。
　1st beat「永遠の翼」は、5月12日より全国東映系で公開される映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』の主題歌。この映画は、石原慎太郎が8年前に企画し、自ら脚本を手掛け製作総指揮を務めたもので、尊い命をかけて大空に散っていった特攻隊員たちのエピソードを連ねて描いた青春群像劇になっており、太平洋戦争の時代を生きた若者の姿を現在に伝える感動超大作である。
　映画の製作側からの依頼をきっかけに、B'zの2人は作品の舞台となっている鹿児島県・知覧にある特攻平和会館を実際に訪れ、戦時中の隊員たちの生き様に感銘し書き下ろしたナンバーが「永遠の翼」だ。イントロの儚くも美しいピアノのしらべに稲葉のヴォーカルが寄り添うように響き渡り、徐々に音が加わって楽曲の世界観が広がっていく。そこに綴られているのは"青い空" "白い雲" "桜の木"という見上げたらすぐに見えるような情景や、"笑顔"という日常の中ですぐにそばにある表情。そして、その言葉のひとつひとつが繋がった時に沸き上がる"またここに戻ってきたい"という思いが強く伝わってくる。サビ部分のストリングスが楽曲を更にスケール・アップさせ、生命力に満ちた松本のギターが聴き手の心を揺さぶる。圧倒させられるというより、じんわりとしみ込む感覚が、この楽曲の奥深さを象徴しているように思えた。知覧を訪れたB'zの2人は、資料などを見て「当時の若者があまりにも壮絶な覚悟をしていたことに、衝撃を受けました」とコメントしている。そして、「自分の飛行機が粉々になったあと、それでも、会いたい人の居る場所や仲間と約束した場所に行きたいという想いが強くあったのだと思います」 とも…。曲が進むにつれて切なさが増していくサウンド展開、そして愛しさに満ちた言葉は、未来に届けと言わんばかりに広がって行く。2人の強い想いが投影された「永遠の翼」は、映画を通して更に多くの人々のもとに届くだろう。
　また2nd beat「ロンリースターズ」は、4月28日に公開となる映画『北斗の拳　ラオウ伝　激闘の章』の主題歌。昨年公開された真救世主伝説『北斗の拳　ラオウ伝　殉愛の章』では、松本孝弘が書き下ろしのテーマ・ソング「Theme from First of the North Star 〜The Road of Lords〜」を手掛け（今作でも引き続きテーマ・ソングに決定）、今回はB'zとして主題歌も書き下ろすこととなった。近未来を彷佛とさせる無機質なサウンドのループに絡み付くような松本のアコースティック・ギターの音色が印象的なイントロ、圧倒的な破壊力を見せつけられるサビ部分など、ドラマティックで激しいサウンドが随所にちりばめられた楽曲に仕上がっている。孤独の中で自問自答しながら前に進もうとする主人公の姿を描いた稲葉の歌詞にも注目。「愛をつらぬくなら　超えていかなきゃ　いけない壁が見えるだろ」というように、運命に翻弄されながらも先を目指す力強さが前面に出た言葉がたたみかけるように登場し、聴き手に迫ってくる。日頃"このままじゃいけない"と思っている人にとっては、少し手荒だが頼もしい激励として心に響くかもしれない。この曲も映画の世界と見事にリンクしているので、実際に劇場に足を運んで聴くと更に臨場感が増すはずだ。
　今作は映画主題歌としてのテーマを通して、2曲とも楽曲自体がスケール・アップしていることを実感させられると共に、そこに凝縮された繊細なサウンド構築も聴き逃せない1枚だと気付かされることは確か。B'zの2007年第1弾シングルとして、まさに申し分のない作品と言えよう。是非とも映画と併せて楽しんでもらいたい。

Text by 森 恵美（music freak magazine）