the pillows

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the pillows

結成から18年…。紆余曲折を経ながらもロック・ミュージックを
鳴らし続けてきたthe pillows。待望の新作は、シニカルな視点で描かれた
独特の世界観が全開!彼らがいる限り、日本のロックは死なない!

(初出『Groovin'』2007年4月25日号)

1989年に結成、1991年にシングル「雨にうたえば」でメジャー・デビューしたthe pillows。90年代初頭のバンド・ブームで、雨後の筍のように登場したバンドの中でも、突出した実力とポップな音楽性で異彩を放っていた彼らは、紆余曲折がありながらも18年に渡り、"the pillows"の名前を守ってきた。その長い活動期間の中で、音楽的スタイルの変遷もあることにはあったが、「ロック・ミュージックを鳴らし続けること」という根幹は何ら変わってはいない。最もシンプルな部分を守り続けることは、すべてを脱ぎ去ることより数倍難しい。新しくて便利なものがすぐに手に入るこの世の中、何だって捨てた方が簡単なのだ。例えば、10代の感性を20年後も維持できる人間が一体どれほどいるだろう?ほんの一握りしかいないはずだ。同時期にデビューしたバンドの多くが表舞台を去った今も、彼らはシャウトし続けている。
 そんなthe pillowsだが、ここにきて彼らを取り巻く周囲は着実に変化してきている。実際、CDセールスの面でもライヴ観客動員の面でも右肩上がり。2005年にはアメリカ・ツアー、2006年にはメキシコシティ&全米主要5都市をまわるツアーを行い、大成功を収めた。18年のキャリアを持つバンドが、現在進行形でファンの裾野を拡げている…こんな稀有なケースはそうそうない。彼らの頑ななスピリッツが若い世代にとって新鮮に映ると同時に、一度は彼らのもとを離れたファンが、自分の忘れてしまった感性を取り戻しにきているのかもしれない。
the pillows-A.jpg      さて、昨秋のMr.Childrenとの対バン・ツアーの興奮も冷めやらぬ中、the pillowsが待望のニュー・アルバムをリリースする。成熟したポップ・センスを見せてくれた『MY FOOT』以来、1年4ヶ月ぶり。WOWOWで放送のアニメ『MOONLIGHT MILE』のエンディング・テーマとしても話題となったシングル「スケアクロウ」も収録した注目作だ。『Wake up! Wake up! Wake up!』と冠された今作は、フロントマン:山中さわおの持ち味が大炸裂。いつか終わりが来る…そんな漠然とした不安を抱えながらも、今、未来に向かって目覚めろ!と鼓舞する「Wake up! dodo」、世界中から愛想を尽かされた僕を理解してくれるのは君だけだよと歌う一風変わったラヴ・ソング「BOAT HOUSE」、「寄り添ってた人間とは嘘をついて喉が渇いた」と、大勢の人間に囲まれているからこそ感じる孤独感を吐露した「Sweet Baggy Days」…。孤独と焦燥と希望。美しい理想を掲げたかと思ったら、いきなり現実へと立ち返る。相対する様々なモノをシニカルな視点で捉えた世界観は、山中さわおの真骨頂だ。かなり痛烈な歌詞も飛び交うアルバムだが、決して絶望はしない。むしろ、ポップでコミカル。その上、何だか切なくて、何だか優しくて、一筋縄ではいかない不思議な1枚なのである。
 この最新作を引っ提げ、全国のZEPPを含む過去最大のツアーがスタートする。ライヴ・バンドとして孤高の存在感を放っている彼らだけに、こちらも楽しみ。the pillowsがいる限り、日本のロック・ミュージックは死なない!

Text by 池 佐和子

『Wake up! Wake up! Wake up!』
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avex trax
5月2日発売
[CD+DVD]AVCD-23281/B ¥3,300(税込)
[CD]AVCD-23282 ¥3,000(税込)

レコード会社移籍後、初のアルバムとなる1年4ヶ月ぶりの新作。シニカルな視点で描かれた独特の世界観が炸裂する渾身の1枚!WOWOWで放送のアニメ『MOONLIGHT MILE』のエンディング・テーマとしても話題となったシングル「スケアクロウ」も収録。DVDには「スケアクロウ」「Wake up! dodo」のVIDEO CLIPを収録。

※[CD+DVD]は、初回生産限定盤です。

【the pillows official web site】http://www.pillows.jp/

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