ザ・シネマティックス

ARTIST PICK UP

ザ・シネマティックス

スコットランド/グラスゴーから、またしても新星現る…。
メロウでスケール感の大きなポスト・パンク・サウンドはとにかくキャッチー!!
ヴォーカル=スコットの歌、声、そしてルックスに中毒反応を起こす人が続出中!!

(初出『Groovin'』2007年4月25日号)

ザ・シネマティックス-A.jpg 80年代にはアズテック・カメラやオレンジ・ジュースといったポストカード・レーベル勢や、ジーザス・アンド・メリー・チェイン、90年代にはティーンエイジ・ファンクラブ、ザ・パステルズらを中心とした草の根的なコネクションが日本を含め世界中のインディーズ・シーンに影響を与え、近年ではベル・アンド・セバスチャン、トラヴィス、モグワイ、スノウ・パトロール、そしてごく最近ではフランツ・フェルディナンドやザ・フラテリスなどが有名だが、このようにいつの時代にも数多くの良質でアーティスティックなバンドを輩出してきたスコットランド/グラスゴー。そんな"グラスゴー系譜"に新たに加わるのが今回紹介する"ザ・シネマティックス"。
 2003年にスコット(Vo)がグラスゴーの道端で歌っていたところに他のメンバーが出くわすところから、彼らの歴史はスタートする。地道に音楽活動を行い、その2年後に現レコード会社と契約。そして2005年10月に7インチ限定シングル「Chase」でデビュー、2006年3月にはセカンド・シングル「Break」を発表。そしてアルバム発表前にもかかわらず、アメリカ・ツアーを開始。ボストンのFM局WFNXではチャートの1位にランクされるほどになり、「"ザ・シネマティックス"はラジオ・フレンドリーな曲を多く持った"インターポール"みたいだ」とはその局の人の言葉。他にもアメリカのFM局で局地的に盛り上がりをみせたようだ。
 そして満を持して、デビュー・アルバム『ア・ストレンジ・エデュケイション』をここ日本でもリリース。ルックスは、彼らの先輩格、フランツ・フェルディナンド系(中流家庭で育ち、アートスクールに通っていました的な、あの感じ)でありながら、サウンドはニュー・ウェイヴ/ポスト・パンクといった80's UKの財産への素直なリスペクトの中に、USオルタナ勢に繋がるメロディー・センスや今のUKを思わせるビートをも取り入れる、という個性溢れるもの(ちなみにM-7「サンデイ・サン」はベックのカヴァー。自分達と同様に、過去の音楽的遺産を混ぜ合わせ、再構築し、ありそうでなかった独特な音作りをするベックに対する尊敬の念が滲み出ている仕上がり)。その中でヴォーカル=スコットの堂々とした歌と声は、同系統のバンドを軽く凌駕することを予感させる大きさを持っている。以前出演したイヴェント「south by southwest(SXSW)」ではジェフ・バックリーの「Grace」のカヴァーを披露し、偶然その場に居合わせたジェフの母親から終演後に涙ながらに感謝の意を伝えられたという彼ら。スコットの歌声にはそんな逸話も納得の、存在感やスケール感といったものが漂っている。
 「グラスゴー出身」「ジェフ・バックリー」というキーワードで、このアーティストに興味を持たれた方はきっといるはず(僕もその1人です)。たった2枚のシングルで、「ヴォーカル=スコットの歌と声に中毒反応を起こす人が続出した」というのはあながち嘘でも噂でもなさそう。あなたも一度聴いたらきっと中毒反応を起こす事になるだろう…。

Text by 大林 誠(浜松佐鳴台店)

『ア・ストレンジ・エデュケイション』
ザ・シネマティックス-J.jpg


ビクターエンタテインメント
発売中
CD
VICP-63768
¥2,200(税込)
※3ヶ月間限定スペシャル・プライス

スコットランド/グラスゴー出身のニュー・カマー。ニュー・ウェイヴ/ポスト・パンクといった80's UKをリスペクトしつつ、USオルタナ的メロディーや今のUKビートも取り入れ、一筋縄ではいかない個性を聴かせる4人組。PV2曲やライヴ映像を収録したCD-EXTRA仕様。日本盤はボーナス・トラック2曲収録。

【ザ・シネマティックス 日本オフィシャルサイト】http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A020950/VICP-63768.html

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