桑田佳祐

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桑田佳祐

ヒット曲「東京」より5年の時を経て、ポップス大王・桑田佳祐が
満を持して新作を発表!初夏の匂いを漂わせ、終わらぬ夏へ誘います。
3曲全てがタイアップ付き、桑田印の必殺ポップ・ナンバーが満載です!

(初出『Groovin'』2007年5月25日号)

桑田佳祐-A.jpg 桑田佳祐は、今や日本国民の誰しもが知っているであろうサザンオールスターズ(以下SAS)のフロント・マンであります。だから今更SASについての来歴を書く必要はないと思いますが、もし今この瞬間に初めてSASを知った方がいたら、それを無視するわけにはいかないのでざっと紹介しますと、SASは1978年に「勝手にシンドバット」でメジャー・デビュー。それから戦略的に最高な下世話さといかがわしさ、そしてセンチメンタリズムを見事に融合させ、29年間SASは日本のメジャー・シーンのトップを走り続けています。その間、1987年には「悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)」で桑田佳祐はソロ・デビューを果たします。最近ではソロ8thシングル「東京」のヒットが記憶に新しいでしょうか。
 で、僕が何故こんな私情入りまくりの駄文を性懲りもなく書き連ねているかというと、桑田佳祐が5年ぶりとなるソロ・シングル『明日晴れるかな』を発表したからです。一聴して僕は、この曲は確実にセールス的にも大成功を収めると感じました。「波乗りジョニー」で聴かせてくれた時と同様の、良きポップスを彷彿とさせます。けれど彼の魅力はそれだけでは確立されないし、まして30年近くも第一線では活躍できませんよね。僕が思うに、卓越したポップ・センスとは相反する、歌謡センス(ナンセンスなエロス、場末のバーのいかがわしさ…とか)も持ち併せているところが彼の魅力だと思うのです。正直、いくら声を嗄らしながら「君が好き」「愛してる」なんて歌われても、どこか綺麗過ぎてしまうというか。ならフロイト、ユングよろしくリビドー丸出しの「クリといつまでも」や「エロティカセブン」なんかを潔く音源化した上でのラヴ・ソングの方が、僕には限りなく胸に響くのです。結局綺麗ごとを並べても所詮男と女、行き着く先は…ってな赤裸々なところまでが彼の"ラヴ・ソング"であり、それに真っ向向き合うのです。そんな彼の中での2つの音楽センスのせめぎ合い〜化学反応が、他のアーティストにはない最大の魅力だと思います。この併せ技が今作でも絶妙に発揮されており、桑田節の王道ポップスにも更に磨きがかかっています。今作を聴き込んだ頃には、そろそろ夏の香りがそこかしこに感じられる時期。ファンが期待するのはやはり夏のSAS!しかも夏を満喫するのに加え、夏の喪失感とやるせなさまでもに浸りたい訳なんです(「真夏の果実」しかり)。
 僕は桑田佳祐というアーティストは、内省的な人間なんだと思います。「私の世紀末カルテ」なんかはいい例で、あれを夜1人で聴いたら翌日の朝は鬱々としてしまう。でもその破壊力ある負のオーラから、笑い〜エロへの飛翔の異常なまでの跳躍力が他を圧倒するんだと思います。苦難苦境を笑いへと昇華させてしまう頭の切れの良さ…そんなことを考えながら聴けば、今作もバッチリ楽しめると思いますよ。SASは来年でデビュー30周年です。しかしまだまだ進化を続けているバンドです。今や親子3世代でSASファン…なんていうご家庭もありそうですよね。久々にソロとして発表されたヴァラエティに富んだ全3曲、ぜひご家庭に1枚いかがでしょうか?

Text by 黒岩周作(成瀬店)

『明日晴れるかな』
桑田佳祐-J.jpg



タイシタレーベル/スピードスターレコーズ
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Maxi Single
[初回限定盤]VICL-36600
[通常盤]VICL-33601
各¥1,260(税込)
[アナログ盤]VIJL-60600 ¥1,995(税込)

ソロとしては約5年ぶりとなるニュー・シングル。タイトル曲はフジテレビ系月曜9時ドラマ『プロポーズ大作戦』主題歌。c/w「こんな僕で良かったら」は本人出演で話題の"アメリカン・エキスプレスカード"キャンペーンソング、更に「男達の挽歌」はこちらも本人出演の"ダンディハウス"キャンペーンソングと、収録曲全てが大型タイアップ付きという超豪華盤!

【サザンオールスターズ 公式サイト「sas-fan.net」】http://www.sas-fan.net/

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