長渕 剛

ARTIST PICK UP

長渕 剛

このアルバムは兄貴の半径2m圏内の心象スケッチだ。
長渕 剛、4年ぶりのニュー・アルバム『Come on Stand up!』がついに完成!
自己を見つめ直したような赤裸々な歌詞は、聴く者の心を大きく揺さぶるだろう。

(初出『Groovin'』2007年5月25日号)

長渕 剛-A.jpg 長渕の兄貴からアルバムが届きました。オリジナルとしては『Keep On Fighting』以来ですから、4年ぶりということになります。もちろんその間にも兄貴は精力的にライヴを行っていましたし、シングルの発表、セレクト・アルバム、ライヴ・アルバムの制作もありました。現在進行形の兄貴をうかがい知るためには、やはりオリジナル・アルバムほど刺激的なものはないでしょう。その点、今回のアルバムは申し分のないものだ!
 日本テイストがブレンドされたロバート・ジョンソンのようなギター・サウンドに乗せて歌う「鹿児島中央STATION」で始まる全12曲には、今まで以上に兄貴の感情が詰まっています。歌詞を読めば、それはもう一目瞭然です。とにかくインパクトがありますよ、歌詞に。3曲目のサビなんて、「いけ!いけ!GO!GO!いけ!GO!GO!」ですよ(ギター買いたての中学生のよう)!それから6曲目の「Run & Dash」。この歌詞は絶対筋トレの最中に思いついたんでしょう。間違いない。当たり障りのない言葉にワーク・アウトの種目名を合わせただけの歌。なかなか書けるものじゃないよ。その他の歌詞も読んで思ったのは、とにかく兄貴は「その時その時の自分の気持ちを加工なしで歌詞にしている」っていうこと。これは表現者にしてみれば勇気がいることだと思います。普通は多少飾り付けるでしょ?修飾語なり情景描写なんかでさ(最近はその描写が細かすぎて、イメージが捕らえやすい代わりに、曲そのものがえらく長いものになってる事も)。とにかくみんな、言ってみれば「格好つけたい」わけですよ。でも長渕の兄貴にはそれが無いからね。格好つけない人間は、強いし、しぶといし、色々なものから自由ですから。
 元々、繊細な歌詞をうま〜くメロディに乗せることができた兄貴。ある時期は敢えてそういった予定調和的なメロディ・ラインを強引にねじ伏せて歌詞を乗っけるといった感じでしたが、今はもうそれすら通り越した感があります。そして何より、自分が感じたことをその瞬間に掴まえた言葉で表現する。きっとそれを大切にしているんじゃないかな。今までのキャリアの中で培われたものをきれいさっぱり手放し、これから先のキャリアの到達点を楽しんでいる。今、自分の手の届く範囲の事象についてはじっくり深く関わっていく姿勢は、ともすれば自分の身の丈に合わないものを手に入れようとして、足元がおぼつかない僕らにとって羨ましい限りではないですか。どうでしょう??
 正直、長渕の兄貴の作品は好き嫌いが分かれると思います。でも、いいじゃん。こんなまっ正直なアルバムを作るアーティストがいたって。いけ!いけ!GO!GO!だぜ!!

Text by 栗原 淳(小田原なるだ店)

『Come on Stand up!』
長渕剛-J.jpg




フォーライフ
発売中
CD
FLCF-4182
¥3,059(税込)

長渕 剛、4年ぶりのニュー・アルバム『Come on Stand up!』がついに完成!自己を見つめ直したような赤裸々な歌詞は、聴く者の心を大きく揺さぶるに違いありません!剛節とも言うべきグルーヴを体感せよ!

【長渕 剛 公式サイト】http://www.nagabuchi.or.jp/

inserted by FC2 system