MY BEST CHOICE!

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第87回 
山崎 智(TSUTAYAすみや市原白金通り店 サブ・マネージャー)

(初出『Groovin'』2007年6月25日号)

 高3の夏、周りが受験勉強に悪戦苦闘している中、推薦での進学が決定していた私は、1人暇を持て余していました。そんなある日の下校途中、ふと近所の図書館へと立ち寄りました。 最近の図書館はCDの貸し出しもするようになったのか、などと感心しながら何気なく手にした1枚が洋楽オムニバス『NOW1』でした。それまで音楽に対して全く興味のなかった私は、収録されている曲やアーティストをほとんど知らなかったにも拘わらず、何故かそれを借りて帰宅しました。
 まさに衝撃でした。普段耳にしていたJ-POPとは全く違うその空気感に、完全に酔いしれてしまいました。デュラン・デュランの「オーディナリー・ワールド」、UB40の「好きにならずにいられない」、ミートローフの「愛にすべてを捧ぐ」…。そして、何よりペット・ショップ・ボーイズの「ゴー・ウエスト」。今考えれば唯一聴いた事のある曲だったという理由のような気もしますが、最もはまった1曲が「ゴー・ウエスト」でした。
 現在私が購入するCDは99%が洋楽です。しかし、英語はさっぱり分かりません。正直私にとって歌詞は重要ではないのです。大事なのはその曲が纏う雰囲気であって空気感なのです。これはやはり『NOW1』で受けた衝撃の影響なのでしょう。そして、今回紹介させていただくペット・ショップ・ボーイズが作り出す哀愁を帯びたユーロ・エレクトロ・サウンドは美しくも繊細で、痛々しいぐらいに澄んだ空気感がたまらないのです。
 あの夏から10年。たった1枚のアルバムとの出会いがきっかけで私の進路が決まったかと思うと、本当に音楽は偉大で、また人生は面白いものだとつくづく感じます。

*なお次回は、林 真人氏(すみや渋谷店)が登場します。お楽しみに。

ペット・ショップ・ボーイズ
『ヴェリー』
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EMIミュージック・ジャパン
発売中
CD
TOCP-53108
¥1,800(税込)

彼らの代表作にしてエレクトロ・ポップアルバムの金字塔。「ゴー・ウエスト」をはじめ極上のポップ・ソングが満載。最近ではシザー・シスターズやキラーズなどが彼らの影響を公言しているので、両バンドあたりが好きな人にも是非聴いてもらいたい1枚です。

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