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情感豊かな歌声が、アナタの耳を伝って心の深部へと舞い降りる…。
注目の男性シンガー、DEL(デル)のデビュー・ミニ・アルバム『ひとひら』が到着。
彼の歌声に惚れ込んだヒット・メーカーが集結した珠玉の全8曲。

(初出『Groovin'』2007年7月25日号)

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 歌い手に徹するというのは、作詞・作曲といった楽曲の一連の構築までもを手掛けるミュージシャンに比べれば一見容易そうに思うかもしれないが、「歌う」という一点に的を絞った表現方法で自分を表現するというのは、そうとうな自信と歌い手としてのプロ意識がなければ、そうは自分の全てを表現しきれないだろうし、世間的にもそう容易くは認めてもらえないだろう。当然の様に楽曲を用意されるヴィジュアルのオマケが付いたアイドルやお笑い芸人の片手間的なCDリリースとも違う、確固たるヴォーカリストとしての道。歌声にどれだけの説得力があるのか、どれだけ歌声で聴き手の心の琴線に触れる事が出来るのか…。楽曲のクオリティも然る事ながら、歌声というのは楽曲を構築する要素として重要である事は明確である。
 少々前置きが長くなってしまったが、今回ご紹介するDEL(デル)のデビュー・ミニ・アルバム『ひとひら』を聴いて、そんな長い前置きをぼんやりと思ってしまったのである。DELは早稲田大学在学中からバンドのヴォーカリストとして音楽活動をスタートさせ、様々な活動を経て昨年よりソロ・ヴォーカリストに転身、現在も精力的に活動を続ける注目の男性ヴォーカリストである。今年4月に1stシングル『春日和』でCDデビュー。インディーズでのデビューながらも、すでにK-MIXのラジオDJとしてレギュラー番組を持つなど、彼への注目度はジワジワと高まる中、この度晴れてメジャーでのアルバム・デビューを果たす。その晴れやかなメジャー作品に相応しく、彼の歌声に惚れ込んだ作家陣が多数集結。作詞・作曲には、マシコタツロウ(一青 窈、KinKi Kids等を手掛ける)、井手コウジ(藤木直人、KinKi Kids等)、市川喜康(SMAP、19等)、そしてアレンジャーには鎌田雅人(hitomi等)など、現在のJ-POPシーンを語る上で欠かせない作家陣が彼の作品のために集結。プロのお眼鏡に叶うその歌声は、温かみのある包容力をもった優しい歌声である。繊細な印象が前面に出ていながらも、芯の太さや強さがある…そんな多面性を持った歌声だと思う。ごくごく日常に起こりうる恋愛の風景がそこには広がり、ごくごく日常に沸き起こる喜怒哀楽がそこには描かれている。だから女々しい時もあれば、男らしいたくましさを感じる事もある。その感情の抑揚も決して大袈裟ではなく、ごくごく聴き手が味わう感情だったりする。その普遍的な感情を普遍的に歌い、伝う事で、聴き手の心の深部へと舞い降りる…。普通って単純?いやいや、そんな普通さが妙に心地よかったりするのである。表現者だからといって肩肘張らず、聴き手の日常に寄り添う…そんな身近さが何よりホッとしたりする。
 今作はラヴ・ソングでも、"和"のテイストをふんだんに取り入れた、どこか懐かしく日本人の私たちにしっくりくるサウンドが随所に現れる。歌詞も殆どが日本語で綴られており、昨今の多用されがちな英語詞にはない、直接的に響く日本語の持つ言葉の意味や響きの美しさに感心したりもする。前述の通り、サウンドや歌詞といった楽曲のクオリティも当然大切であるが、改めて和の風情や情緒といった事までも顧みるのは、紛れもなく彼の情感豊かな歌声あっての事だと思う。著名な作家陣とDELの歌声による化学反応は、個性豊かな世界観を確かに築き上げた。作り手と歌い手のプロ対決…この贅沢なコラボレーション、ぜひともじっくりと聴いて頂きたい。

Text by 浜田幸子(編集部)

『ひとひら』
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ビクターエンタテインメント
8月8日発売
CD
VICL-62412
¥2,100(税込)

注目の男性シンガー、DEL(デル)のデビュー・ミニ・アルバムが到着。マシコタツロウ、井手コウジ、市川喜康等、J-POP界を代表するヒット・メイカー陣が彼の歌声に惚れ込んで集結。甘く、優しく、清らかな歌声によって彩られた、和の風合いを漂わす珠玉のバラード・ナンバーを全8曲収録。

【DEL Official Web Site】http://www.del.vc/

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