Dragon Ash

キャリア10年、アルバム9枚のリリースを経て遂にリリースされる、
Dragon Ash初のベスト・アルバム。キャリア前半と後半に分けられた2枚を同時リリース！
ファンへの感謝と敬意に溢れた記念碑です。

（初出『Groovin'』2007年8月25日号）

　今年デビュー10周年を迎えたDragon Ash（以下DA）が2枚のベスト・アルバムをリリースする。はじめてこのニュースを耳にしたとき、DAがベスト・アルバム？て思ったファンも多いかもしれない。デビュー以来、過去を振り返ることなく常に進化と変化を続けてきたのがDAで、"いつだって最新作が最高傑作"とはDAにこそ相応しいフレーズだ。だからこそベストという切り口で自身の作品をまとめることに驚きを感じつつも、ファンへの感謝としてメンバー自身がこのリリースを決めたことがとても嬉しい。
　ベスト・アルバムは2枚に分けられていて、ファンによる「Dragon Ash国民投票」の結果と、それを受けてのメンバー・セレクトによって決定。投票結果はオフィシャルWebサイトで確認できるが、ズラリと並んだベスト50のほとんどはライヴでの定番曲が中心となっている。1位の「陽はまたのぼりくりかえす」や「百合の咲く場所で」「Viva la revolution」「Canvas」などファンにとってもとりわけ思い出深い曲ばかりだと思う。そういえば今年のROCK IN JAPAN FES.で1曲目に「陽はまた〜」が演奏されたのは投票結果を受けてのものなのか、これもファンにとってはスペシャルなプレゼントだっただろう。ちなみに迷いに迷った僕のベストは「Morrow」で、Kjのメロディが持つ叙情性とリズム・オリエンテッドなトラックであり静謐さと獰猛なインテリジェンスを併せ持ったすばらしい曲だと思う。終盤のディストーション・パートは、いつ聴いてもホントにグッとくる。
　またそれぞれのアルバムに収録される新曲も聴き逃せない。『Vol.1』に収録される「For divers area」は高速ラテン・ビートが今のモードを表しているDAファン超納得の曲となっていて、『Vol.2』の「wipe your eyes」ではKjの持つ叙情性がフォークトロニカを通過した音で鳴らされる、これもまたDAでしかあり得ない曲だ。そしてこの曲をよりスペシャルなものにしているのは、コーラスにEvery Little Thingの持田香織がフィーチャーされていることだ。そういえば以前に音専誌のインタヴュー記事で、Kjが彼女の声に強く感銘を受けたと発言してたことを思い出す。先行試聴できる「wipe your eyes」のPVを見た人もいるだろう。Kjのトラックで歌う彼女の声は相性抜群で、終盤でビートが加速し2人の唄が絡み合うところなんてホントにカッコイイ。とてもスケールの大きな曲だ。これをシングル・カットしないなんてちょっと勿体ないかも。それぐらい強く訴えかける楽曲だ。

Text by 鈴木 篤（すみや本社 営業グループ）