ブライアン・セッツァー・オーケストラ

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ブライアン・セッツァー・オーケストラ

ブライアン・セッツァー・オーケストラ、約7年ぶりのニュー・アルバムは、
クラシックの名曲たちをスウィングさせた新機軸となる1枚。
彼の深すぎる懐(ふところ)に脱帽!

(初出『Groovin'』2007年9月25日号)

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 かつてロックの世界で名を残し、そのうえ現在に至るまで聴き継がれるアーティストには、単なる模倣に終わらない自身のオリジナリティが作品に付加されている。そこに化学反応を起こして新しい何かを作り上げていたのである(そもそもPOPミュージックそのものが、過去の模倣から始まらざるを得ない宿命があるが…)。しかし、このところ"そのまんま"、"とって出し"(ワイドショーか!)なものがかなり多いと感じるのはもう私自身、オールド・ファンに足を突っ込んでしまっているからだろうか(もしかしたら自分の若かりし頃にリアルタイムではまっていた"新しい音"が、当時ヴェテランのリスナーからすると"そのまんま"だったりしたのかも…)。
 今回、驚愕のニュー・アルバムをリリースしたブライアン・セッツァーは、ロカビリーという古典的なロックン・ロールにその当時、革新的とされたパンクを融合させて自身のオリジナリティを確立させたが、正直そこまでかなあと失礼ながら感じていた。しかしながら、こんなにも長くその革新に続きがあると誰が予想しただろうか。ストレイ・キャッツではネオ・ロカビリー・ブーム、ブライアン・セッツァー・オーケストラではネオ・スウィング・ブームと常に古き良き物に新しい価値観を融合させてきた彼が、今回取り上げたのは誰もが知るクラシックの名曲たち。ベートーヴェンの「交響曲第五番」やモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」といった"これを一体どうやって?"という定番をものすごいアレンジで見事にスウィングさせている(ネオ・クラシカル・スウィングか!?)。
 数年前の『スウィング・ガールズ』から続く(最近もありましたね、『ブラバン!甲子園』)吹奏楽ブームだが、吹奏学部の学生さんにも是非おすすめしたい(店でも)!ブラス・アレンジの妙にも痺れるが、ブライアンのギターもやばい逸品。また同発の2006年ジャパン・ツアーの模様を収めたライヴ・アルバム『レッド・ホット&ライヴ!』もよろしく。

Text by 作山和教(宇都宮FKDインターパーク店)

★ライヴ・アルバム同時リリース!
ブライアン・セッツァー・アンド・
ザ・ナッシュヴィリアンズ
『レッド・ホット&ライヴ!』
レッド・ホット&ライヴ!-J.jpg
ビクターエンタテインメント
発売中 CD
VICP-63950 ¥2,520(税込)

『ウルフギャングズ・ビッグ・ナイト・アウト』
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ビクターエンタテインメント
発売中
CD
VICP-63949
¥2,520(税込)

今回は何を料理するのかと思いきや、ついにクラシックの"超"がつく定番をスウィング化。突飛なアイディアを完璧なアレンジできっちり纏め上げ、最後はブライアンのロックン・ロール・ギターで味付け。ネオ・クラ・スウィング・ブーム到来か!?…はさておき、垣根を越えて聴いて欲しい1枚。

【ブライアン・セッツァー・オーケストラ 日本オフィシャルサイト】http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A013806.html

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