MY BEST CHOICE!

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第90回 
由比朋子(TSUTAYAすみや 磐田南店)

(初出『Groovin'』2007年9月25日号)

 文化というものが、その土地や気候に深く影響されているとすれば、もちろん音楽もその例にもれないだろう。
 2005年ショパン・コンクールで優勝したラファウ・ブレハッチは、クリスティアン・ツィマーマン以来、実に30年ぶりの地元ポーランド人優勝者だという。しかも、副賞のマズルカ、ポロネーズ、コンチェルトの各賞も独占。かつてブーニン・ブームを日本に巻き起こしたショパン・コンクールではあるが、それから15年も優勝者を出さなかったということもあり、この大盤振る舞いには正直ビックリしたものだ。
 そこで、このライヴCDなのだが、とにかく聴いて納得。コンテスタントにありがちな、難しいパッセージをすさまじいテクニックで弾きこなす、といったタイプではないのだが、その内省的で気品あふれる演奏スタイルはショパンの愛したポーランドそのものではないかと思われるほど。この時のブレハッチの演奏は2枚のディスクに収められており、どれも本当に素晴らしいのだが、特にピアノ・ソナタ3番と、あまりにも有名なピアノ協奏曲第1番が入った2枚目の盤は圧巻。
 さて、私はこの7月に茨城県から異動で静岡県の磐田市に来たばかりだが、ブレハッチが初めて国際的なコンクールで脚光を浴びた浜松のアクトシティが近いということもあり、是非直に聴いてみたいと次の来日を期待しているところなのだ。

*なお次回は、手塚 潤氏(すみや本社 営業グループMD)が登場します。お楽しみに。

ラファウ・ブレハッチ
『ショパン・コンクール・ライヴ2005 ラファウ・ブレハッチ II』
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ビクターエンタテインメント
発売中
CD
VICC-60492
¥3,000(税込)

ピアノ協奏曲第1番は、ショパンが愛し、ついに帰ることのできなかった祖国ポーランドを離れる直前に完成され、作曲者自身が初演したもの。その時ショパンは20歳で、このCD演奏の時のブレハッチと同じ歳という。天才とは20歳にしてかくも完成されたものか!!

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