スパイス・ガールズ

昨今の再結成ブームの中、元祖タフ・ガールズ、
スパイス・ガールズもいよいよ再始動！2007年の冬は彼女達が、
再び全世界のポップ・シーンを大きく揺るがすこととなるでしょう！

（初出『Groovin'』2007年10月25日号）

　90年代初頭のUK音楽シーンといえば、オアシスやブラー、パルプらが中心となった一大ムーヴメント「ブリット・ポップ」の全盛期。個性豊かな新人、若手バンドが次々とシーンに登場し、またブーム以前から活動を続けてきたスウェードやシャーラタンズ、オーシャン・カラー・シーン、ザ・ヴァーヴらもシーンを盛り上げていた。その後このブームは社会現象と化し、メディアは音楽のみならず、ファッション、芸術などイギリスのポップ・カルチャーの特集を組み、これらの状況を指す「クール・ブリタニア」なる造語まで誕生。そしてそれを象徴するかのように1996年、ユアン・マクレガー主演の青春映画『トレインスポッティング』が公開。劇中で使われている楽曲にブリット・ポップ系バンドが多数参加した効果もあってか、映画はロング・ラン・ヒットを記録。まさにイギリスのエンターテインメント業界は絶頂期であった…。
　そんな1996年に5人5色の個性（SPICE）と共に、衝撃のシングル「ワナビー」でデビューしたガールズ・グループ、スパイス・ガールズ。2001年の活動休止宣言までに3枚のオリジナル・アルバムと12曲のシングル（両A面曲を含む）をリリース、現象的な記録を数多く残したグループであった。彼女達が残した記録をざっと挙げてみると、①デビュー・シングル「ワナビー」でイギリス、アメリカの両方のシングル・チャート1位を獲得した最初の「女性（全員）グループ」②そのシングル「ワナビー」はガールズ・グループによるシングルとして史上最高の400万枚以上の売上を記録。③イギリスでは、デビュー・シングルから6曲連続のNo.1ヒットを記録（エルヴィス・プレスリー、ザ・ローリング・ストーンズ、テイク・ザットの記録を破る）。④97年、アメリカのビルボード・チャートTOP20に2枚のアルバムを送り込む（75年以来の記録）。⑤イギリスで3年連続クリスマス週のNo.1を獲得（96年「トゥー・ビカム・ワン」、97年「トゥー・マッチ」、98年「グッドバイ」）。これはザ・ビートルズとスパイス・ガールズだけが打ち立てた記録。⑥デビューからわずか4年3ヵ月での9曲目のシングルNo.1獲得は、ザ・ビートルズの2年8ヵ月に次ぐ記録、など。スパイス・ガールズはこれまで全世界でトータル3,800万枚のアルバム・セールス、1,500万枚のシングル・セールスを記録したことになる。
　ミレニアムを彩り、世界的人気を誇った彼女達だが、今年6月28日、メンバー全員で記者会見を開き、「THE RETURN OF THE SPICE GIRLS」と題した大規模な世界ツアーを決行し、今秋（11/7）にグレイテスト・ヒッツ・アルバムをリリースする事も発表。新曲として、「ヘッドラインズ〜フレンドシップ　ネバー・エンズ〜」「ブードゥー」の2曲が収録される。メラニーCは今回の再結成について「もし再結成したら、それはとても期間の短いもので、きっとそれがほんとに最後のGood bye（さようなら）、世界中のファンのみんなにありがとうっていうことになるわ」とコメント。ちょっと寂しい気もするが、とにもかくにも、いよいよスパイス・ガールズが再始動する。

Text by 大林 誠（静岡本店）