AI

日本を代表するR&Bディーヴァの勢いは止まらない！
前作から約1年ぶりにニュー・アルバムをリリース。アッパー・チューンからバラードまで
ヴァラエティに富み、さらに進化（深化）したAIの代表作になるのは間違いない！

（初出『Groovin'』2007年11月25日号）

　洋楽好きな人の中には「邦楽なんて聴かないよ」と言う人も多くいるのではないだろうか？それには様々な理由があるのだろうが、実は自分もその1人だったことがある。近年、日本のR&BやHIP HOPでも洋楽に負けないほどのサウンド・クオリティや歌唱力を持ったアーティストが登場し続けているが、そんな中、AIはずば抜けた歌唱力、センス、パフォーマンスを持ち、洋楽ファンにも充分に受け入れられるアーティストだと思う。
　本作での注目すべき所は豪華プロデューサー陣。まず海外からは、7月発売のシングルも担当したスウェーデンのプロデューサーJonas Jeberg、米国からTery SongzやMary J.Bligeとのワークスで知られるTroy Taylor、50CENTの最新1stシングルをプロデュースしたTy Fyffe。国内からは、AIの4枚のアルバムを担当したT.Kura（安室奈美恵、EXILE）他、新進のプロデューサー・チームTHE COMPANY（JAMOSA、WISE、NaNa）、そして海外アーティストからの評価も高い日本を代表する気鋭のHIP HOPプロデューサー、BACH LOGICらが参加。先日発売されたばかりのシングル「ONE」は、冨田ラボこと冨田恵一氏がプロデュース・編曲を担当。またフィーチャリング・アーティストには、「BUTTERFLY」でPUSHIM、土屋アンナ、ANTY the 紅乃壱を迎えて、超強力な女性4人によるパワフルで超ポジティヴなナンバーが炸裂。さらに「GET UP-REMIX-」ではZEEBRA、SPHERE of INFLUENCEによる豪華兄弟共演が実現した。
　さて、今回のアルバムは、80年代後半に聴いたジャネット・ジャクソンのアルバム『Rhythm Nation 1814』を彷彿とさせる、壮大なオープニングSEから始まる（偶然にも、AIは1999年にジャネット・ジャクソンの「ゴー・ディープ」のPVにダンサーの1人として出演している）。このアルバム全体が1つのストーリーとなるべく、その上でもこのオープニングは重要なポイントとなっているのだ。そして、ノリノリのアッパー・チューン「DON'T STOP」からストーリーが展開。超豪華コラボの「BUTTERFLY」、思わず聴き入ってしまうバラード「ONE」、CMソングに決定している「I'll Remember You」、昔のソウル・ミュージックを感じさせる「FEEL SO GOOD」、意外にも（？）ギター・サウンドからはじまる「THE ANSWER」…この曲は個人的には1番気に入った曲！ストーリーも終盤にきて、「大切なもの」はAIの歌が1番ストレートに伝わってくる楽曲。豪華兄弟共演が実現し、聴き応え充分な「GET UP-REMIX-」、そして終演を迎えるにふさわしいエンドロール的な「BRAND NEW DAY」。これで1つの物語が完結する。
　今までよりもさらに進化（深化）したAI。彼女は常にオリジナリティを掲げ、幅広い層から支持を得ている。今回のアルバム『DON'T STOP A.I.』のタイトルが示す通り、どこまでも止まらないAIが、これからの時代を率先していくアーティストであると確信する。

Text by 勝又祥治（御殿場店）