RIP SLYME

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RIP SLYME

まさに、音の遊園地。
RIP SLYME、1年振りにニュー・アルバム『FUNFAIR』をリリース!
様々なリズム、音色とPOPさが上手く融合した傑作です。

(初出『Groovin'』2007年11月25日号)

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 ここまでリズムや音色にこだわり、なおかつPOPさを維持し続けることのできるHIP HOPグループがいただろうか。これが、RIP SLYMEのニュー・アルバム『FUNFAIR』を初めて聴いた時の率直な感想である。ケミカル・ブラザーズのような激しいブレイク・ビーツから、M.I.A.などに代表されるティンバランド直系のバイレファンキやサンバなどのブラジリアン・ビート、生音をサンプリングさせたジャジーかつスムージーなトラック。その上に各メンバーのラップや、キャッチーなメロディを乗せる絶妙のバランス。また、攻撃的で激しく重めの音を使いながら、それを感じさせずに、あくまでPOPに聴かせてくる音色。RIP SLYMEというグループ、彼らは日本が世界に誇るHIP HOPグループ、いやHIP HOPを基盤とした「音楽家集団」である。
 普通、リズムや音色にこだわり続けてしまうと、その面だけに視点が向かってしまい、結果としてステレオ・タイプな思考に陥りやすい。曲を聴かせるのではなく、リズムを、音色を、という風になってしまいがちだ。しかし、メジャーというフィールドにおいてこれは許されない。それらはあくまで曲を構成する1つの要素に過ぎないのである。一番大事なのは「楽曲」を聴かせることなのだ。この部分においてリップの今作は、リズム、音色にこだわりつつも、それが1人歩きすることなく、曲の中に上手く溶け込んでいる。音の重ね方、リズムの置き方、メロディとラップの対比、これらがお互い喧嘩をすることなく調和しているのだ。それもアルバム全曲である。
 彼らのトラックは、全てDJ FUMIYAが制作しているのだが、今作はMC陣全員の個人プロデュース曲を収めているのも特徴である。さらにゲスト陣として「熱帯夜」のc/w「UNPLUGGED」でドラムを叩いていた中村優規、TERIYAKI BOYZのメンバーWISEとユニットを結成していたSONPUBが初参戦。また、リップ初の女性MCゲストとして、RYO-Zが最近お気に入りというCOMA-CHI、さらにフェスをきっかけにILMARIが交友を深めたモンゴル800も参加している。こうした多くの意見を採り入れた事によって刺激が加わり、彼らの今作はまさに「POPだけどフックのある」作品に仕上がっているのだ。
 以上、ここまでで各曲の詳細な紹介をしていないことに気づくと思う。しかし、私はあえてそれをしない。それは、今作がトータルで聴くことのできる、つまり「捨て曲なし」なアルバムだからだ。どの部分から聴いても死角がない『FUNFAIR』はまさにパーフェクトなアルバムである。

Text by 西村大輔(静岡イトーヨーカドー店)

『FUNFAIR』
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ワーナーミュージック・ジャパン
11月28日発売
CD
WPCL-10444
¥3,150(税込)

RIP SLYMEが待望のニュー・アルバムをリリース!先行シングル「熱帯夜」「SPEED KING」が良い意味で目立たない、全曲聴ける死角無しのアルバム。もはや彼らはHIP HOPを基盤とした「音楽家集団」である。初回盤のみデジパック&特典ステッカー封入&100枚に1枚スペシャルプレゼントが当たるシール付き!

【RIP SLYME OFFICIAL HP】http://www.ripslyme.com/

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