倖田來未 of groovin2008

"倖田來未のキングダム（王国）へようこそ！"
ミリオン・セールスを記録した前作『Black Cherry』以来、
約1年ぶりとなる6枚目のオリジナル・アルバム『Kingdom』をドロップ！

（初出『Groovin'』2008年1月25日号）

　2000年のデビューから7年。名実ともにトップ・アーティストに上り詰めた倖田來未。J-POPシーンにおいて、一躍センセーションを巻き起こした彼女だが、ここ最近では、より表現力を問われるバラードに力を入れるなど、歌そのもののクオリティで新たなファンを獲得している。昨年末には、念願だったという初の東京ドーム公演を実現、約4万5000人のオーディエンスを前に、シンガーとしての底力を改めて示してみせた。
　昨年、25歳の誕生日を迎え、今や大人の余裕を醸し出している倖田來未が、ミリオン・セラーを記録した前作『Black Cherry』以来、約1年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Kingdom』をリリースする。ヒョウ柄の王冠とゴールドのドレスを身にまとい、豪華な椅子にどっしりと腰掛けているジャケットが印象的な今作は、まさに"倖田王国へようこそ！"と言わんばかりの貫禄に満ちた1枚だ。恋する女の子の幸せな気持ちを、これまでの歌唱とは一味違うウィスパリング・ヴォイスで歌った先行シングル「anytime」を始め、アジア全土で絶大な人気を誇るダンス＆ヴォーカル・グループ、東方神起をフィーチャーした「LAST ANGEL」、抑えたヴォーカルが成熟度を感じさせる渾身のバラード「愛のうた」、疾走感溢れるパワフルなアッパー・チューン「FREAKY」、"同性愛"をテーマとして話題を呼んだ「BUT」、日本テレビ系2夜連続ドラマ・スペシャル『愛の流刑地』主題歌として話題を呼んだドラマチックなナンバー「愛証」といったお馴染みのヒット・シングル6曲に、アルバム新録9曲を加えた全15曲を収録。そのヴォリューム感たるや圧巻だ。ポップス、ロック、R&B、ハウスと、様々なジャンルの音楽を自分流に表現しようとする姿勢に並々ならぬ意欲が見てとれるし、"こうじゃなければいけない"といった制限も束縛もない自由なスタイルからは、揺るぎない自信が窺える。歌姫から"キング"へ…。これまでにない力強い存在感を放つこのアルバムは、彼女のキャリアにおいて、大きなターニング・ポイントとなりそうだ。
　25歳というひとつの節目に立ち、さらに上を見据えている倖田來未。2008年も彼女から目が離せない。

Text by 池 佐和子