大橋卓弥

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大橋卓弥

母体のスキマスイッチ、充実期にあってのソロ活動がスタート。
名うてのミュージシャンによるスーパー・バンド、Drunk Monkeysを従えた、
大橋卓弥のひとり歩き、その第一歩。

(初出『Groovin'』2008年1月25日号)

大橋卓弥-A.jpg 2007年のスキマスイッチは総括の1年だった。アルバム3部作を経てのベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』の発売があり、全国で10万人を動員した大規模なアリーナ・ツアー「ARENA TOUR'07 "W-ARENA"」もつい先日幕を閉じた。その最終公演で、巨大なステージをものにした彼らの逞しい姿と、以前と変わらぬ気さくな横顔を目の当たりにし、ひとつ区切りをつけたスキマスイッチの今後に大きな期待を馳せたばかりである。
 その直後にアナウンスされたのが、今回の大橋卓弥ソロ・プロジェクトの始動だ。2006年には相棒、常田がdoppietta(ドッピエッタ)なるレーベルを立ち上げるなど、個々の活動への予兆はあったものの、昨年のスキマスイッチとしての活動のすべてがこの伏線だったのだと、今にして思う。えてしてソロ活動というのは後ろ向きの印象が強く、スキマスイッチに限ってはこの充実期においてなぜソロなのかという疑問も最初はあった。だが、これまでの活動で揺るぎない手ごたえを掴んだ上で、さらなる母体の充実を図るとあらば、実に前向きな選択だ。こと彼らに関しては素直にそう思えてくる。さらには、どんどんひたむきになってきている大橋の表現を見れば、このソロ活動も大きく納得できてしまう。
 かくして大橋ソロ。佐野元春、奥田民生、吉井和哉ほか、サポートを務めたミュージシャンを挙げたら枚挙にいとまがない古田たかし(Dr)を筆頭に、100sのメンバーでもあり、倖田來未、V6他への楽曲提供でも知られる山口寛雄(B)、スキマスイッチのツアーには2005年から参加している新井"ラーメン"健(G)、氷室京介やこちらも奥田民生のサポートで知られる斎藤有太(Key)ら手練のミュージシャンで構成されるDrunk Monkeysを従えた"プロジェクト"での始動だ。そこには、バンドにこだわり演奏のクオリティにもこだわる、そんな大橋の意図が窺える。
 その第1弾シングルとなるのがこの「はじまりの歌」。他にどう解釈しようもない納得のタイトルがついた。軽やかに転がるメロディに乗せ、スタート地点に立った今の胸のうちを明かさずにはおれない、といったように言葉が溢れ出してくる。大橋らしさ全開、メジャー感たっぷりのアップ・ナンバーだ。だがそこにいるのはスキマスイッチの名曲を数多く手掛けてきたヒット・ソング・メイカーとは思えないほど、蒼くまぶしく切ないほどに、ミュージシャンとしての"初心"を振り返るひとりの男だ。"向き合うのは成果ではなく 胸に住み着いた弱虫"。と同時に、あくまでも等身大のスタンスを貫きながら、ひたすら自分だけの音楽を模索したいといった"逸る気持ち"も満ち溢れている。笑顔でサラリと軽口を言ってのける反面、至極繊細、そして貪欲な創作意欲を持つ彼のパーソナリティー、それだけでできているような曲になった。
 スキマスイッチという大看板に頼らない、このソロ活動が自身の試金石となるのは覚悟の上だろう。だが、文字通りこれは単なるはじまりでしかない。とにかく次が早く聴きたい。そんな気にさせる"デビュー・シングル"だ。

Text by 篠原美江

『はじまりの歌』
大橋卓弥-J.jpg




AUGUSTA RECORDS/BMG JAPAN
2月6日発売
Maxi Single
[初回生産限定盤]DVD付 AUCK-19026〜7 ¥1,575(税込)
[通常盤]AUCK-19025 ¥1,260(税込)

本人出演のCM「ユーキャン2008キャンペーンソング」としてオンエアされている表題曲他、c/wには先輩、スガ シカオの「そろそろいかなくちゃ」を後輩、秦 基博と共にカヴァーした"VOICE×VOICE"プロジェクトの第1弾を収録。初回生産限定盤はVideo Clipとスペシャル・コンテンツを収録したDVD付き。

★大橋卓弥オフィシャルHP
【オフィス オーガスタ】www.office-augusta.com/ohashi
【BMG JAPAN】http://www.bmgjapan.com/ohashitakuya

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