ARTIST PICK UP
Ailie
スウィートでメロウなヴォーカル&ソングライティング、
レゲエ・シーンから現れたこのナイス・ガイの名は、Ailie(アイリー)。
2008年注目のアーティストです。
(初出『Groovin'』2008年1月25日号)
「レゲエ・シーンから彗星のように現れた…」とメジャー・デビューにあたってキャッチ・コピーのついているAilieだが。音を聴いてみると、ダンス・ホール、ルーツ・レゲエのイディオムがベースにありながらも、その枠にとらわれず、実にポップで日本のリスナーの琴線にも触れるメロウなミディアム・ナンバーである。そして、ヴォーカルはスウィートでしっとりと曲に絡んでいくようで、食べ物に例えるなら、ラーメン屋でスープと麺の相性が良いとき「スープが麺にうまく絡んでいる」と言うが、そんなイメージである。
レゲエをポップでカジュアルなものに昇華させた第一人者としては、あえてMOOMINを挙げたいと思うが、その比較においてはMOOMINを5回くらい濾過して、不純物を取り除いたような爽やかさがある(僕はMOOMINのある種のねちっこい感じも好きではあるが…)。
HOME GROWNのアルバムでのフィーチャリング、横浜レゲエ祭への参加、インディーズでは『Ailie』を発表していることもあり、すでに耳なじみのある人もいると思うが、ここでAilieのプロフィールについて触れておくこととする。
1978年東京生まれ、スティール・ギター奏者の父のもと、自然に音楽の中で育ち、2001年にレゲエ・バンド、I Continuallyと共にシーンでの活動を開始すると、2002年"BOB MARLEY SONGS DAY"で優勝、ジャマイカでの音楽修行へ。帰国後は本格的な活動を開始し、インディーズでの評価を着々と上げてきた。前述のアルバム発表後は、今作のc/wでもある「大丈夫。」がフジテレビ系『グータンヌーボ』のテーマ・ソングになるなど、メディアからも注目される存在になった。ちなみにこの「大丈夫。」は表題曲とは様相も異なり、以前の小沢健二を彷彿とさせるようなキッチュなナンバーであり、Ailieのソングライターとしての引き出しの多さを物語るものとなっている。
ポップ・カルチャーのポイントも押さえる余裕もありながら、ラスタの思想はしっかりとベースに持っているAilie。2008年の活躍に期待するところ大である。
Text by 松本真一(三島店)
『風の歌』
ジェネオン エンタテインメント
2月6日発売
Maxi Single
GNCL-0027
¥1,260(税込)
ドラマ『腐女子デカ』の主題歌のために書き下ろされた表題曲は、ドラマティックな展開と海岸によせる小さな波のようなサビのループが心地よいミディアム・ナンバー。c/wは「大丈夫。」に加え、TBS系ナショナル・ドラマ・スペシャル『彗星物語』のエンディング・ソング「流れ星に」の全3曲収録。