長渕 剛

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長渕 剛

リング上の表現者と、それを取り囲む大観衆との、熱狂的な魂の交歓。
孤高のシンガー・ソングライター、長渕 剛の神髄に全方位から迫る、
計4時間52分に及ぶ迫真のライヴ・ドキュメント。

(初出『Groovin'』2008年4月25日号)


長渕 剛-A.jpg そのヴォリューム、内容ともに破格のスケールを誇ったライヴDVD『桜島』から3年余り。長渕が再びライヴDVDをリリースした。本作は、昨年9月のさいたまスーパーアリーナを皮切りに、全国14ヶ所19公演15万人を動員したツアー・ファイナルの代々木競技場第一体育館公演を収録したもので、DVD3枚組トータル・タイム4時間52分の、またしても大作だ。収録曲全25曲、3時間半にも及ぶライヴ、さらには12年ぶりに復活させたというセンター・ステージ、1トントラック16台分、総重量30トンの機材、100人を超えるスタッフ、ツアー・ドキュメントを収めたテープは256時間分…と、驚異的な数字が数多く並び、それだけで圧倒されてしまうが、情報としてのそれらの数字がどれだけのものであるかは本編を見て初めて納得できる。
 優に70分を超えるDISC1。昨年リリースされた4年ぶりのオリジナル・アルバム『Come on Stand up!』からの楽曲を中心に、躍動的なロック・ナンバー、しみじみ聴かせるバラードと、静と動、硬軟織り交ぜながらステージは展開する。多くのヴェテランが往年の懐メロに頼った制作とライヴ活動に移行する中で、30年のキャリアをもちながらオリジナル・アルバムを引っさげた、しかも大掛かりなツアーを実現させてしまう希有なミュージシャン、それが長渕だ。ノスタルジーの中で生きる男にはならない、その姿勢が彼を孤高の存在に押し上げた、ひとつの要因であることを痛感する。亡き父へ捧げる「鶴になった父ちゃん」ではイントロでそっとサングラスをかけたシーンが印象的だ。隠された瞳は、この広いライヴ会場で1万何千という聴衆を牽引する人のそれとは異なる、ひとりの子供の目だったに違いない。相棒と紹介された愛犬レオがステージにあげられると、今度は父親の眼差しそのものに。こんなところに彼の素顔の一端を垣間見ることができる。
 DISC2は、長渕のメロディ・メイカーとしての底力を広く世間に知らしめることとなったTOKIOへの提供曲「青春 SEI SYuN」から「勇次」「HOLD YOUR LAST CHANCE」、伝説の「桜島-SAKURAJIMA-」など、これまでの長く濃いキャリアを物語る内容となった。締めくくりに置かれた「おいで僕のそばに」の、この上ない切なさが深い余韻を残し、歓声の中、感無量といった表情の長渕を映して本編は終わる。
 DISC3には、映画監督・深作健太が手がけたドキュメント映像を収録。アーティスト・長渕の強い信念とこだわりが窺える、ファン必見の1枚だ。

Text by 篠原美江

『2007 TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA T0UR COME ON STAND UP!』
長渕剛-J.jpg




フォーライフ ミュージックエンタテイメント
発売中
DVD(3枚組)
FLBF-08097
¥9,800(税込)

昨年のツアーから、国立代々木第一体育館で行われた最終公演の模様を収録したDVD作品。ストイックを極めるステージの裏側を追ったドキュメント・ディスク「19R」も収めたフル・ヴォリュームの3枚組。デジパック&特製BOXケース入り。購入者応募券封入。

【長渕 剛 OFFICIAL WEB SITE「LIVE ON」】http://www.nagabuchi.or.jp/

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