ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ

ARTIST PICK UP

ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ

アークティック・モンキーズのアレックス・ターナーによる超話題の新バンド!
2008年、最重要スペシャル・ユニット、ザ・ラスト・シャドウ・パペッツがベールを脱ぐ!
あなたが真のロック・ファンなら、この音を決して無視できないはず。

(初出『Groovin'』2008年4月25日号)

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 昨年来から、まことしやかに噂されていた話題のニュー・プロジェクト=The Last Shadow Puppets(ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ)のアルバムが、遂に2008年4月16日に発売された。なんと、驚くべきことに本国イギリスよりも早いリリースで日本先行発売である。これは、国内のロック・ファンにとって喜ばしいアドヴァンテージであると感じるのは私だけだろうか?よく、この"日本先行発売"という言葉を耳にするが、どうしても輸入盤対策上のやり繰りといういやらしい部分が鼻につく。でも、ここでは100%良い意味で理解したい。アレックス・ターナーとマイルズ・ケインは、きっと"日本のロック・ファンのためにこれを快諾したのだ"と。
 それでは、そんな2人について少し触れてみたい。アレックス・ターナーは、あのアークティック・モンキーズのフロント・マンであり、そのバンドは2005年のデビュー以来、前代未聞の快進撃を続けている。発売された2枚のアルバムは、ともに全英初登場1位、2007年ブリット・アワード2部門受賞、そしてUK最高音楽賞であるマーキュリー・ミュージック・プライズまでも受賞している。これは、バンドの実力を認めざるを得ない紛れもない事実だ。昨年の「SUMMER SONIC」でヘッドライナーを務めたことも記憶に新しい。そして、相方のマイルズ・ケインは、元リトル・フレイムス、現ラスカルズで、どちらかというと辛口のUKロック・ファンに人気のあるアーティストと言えよう。
 いよいよ肝心な音について書きたいと思うが、残念ながらこの原稿を書いている段階では1曲があるのみ。アルバムと同タイトル曲の「ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント」がそれである。でも、私はこれを書きながら、この曲を100回以上はリピートしている。これを読んで下さる方になんとかこの曲感を伝えたく、孤軍奮闘した(つもりである)。そして、聴きながら、自分のハートBPMもかなり上昇。そう、この曲は、"ビート"が命である。それは、アークテックのような性急なものでも、リトル・フレイムスのような泥臭いものとも違う。とてもエモーショナルな弾みを帯び、西部劇のサントラさながらである。22ピース編成のザ・ロンドン・メトロポリタン・オーケストラも曲に対して非常に深い響きを添えていて、とても印象的なナンバーだ。そして、その曲のメロディは60〜70年代特有のクラシック・ポップスを踏襲してはいる。確かに最も影響を受けたアーティストとしてスコット・ウォーカー、初期デヴィッド・ボウイなどを挙げているので、それは間違いない。でも、単なる懐古主義と片付けるのは、余りに安易すぎるだろう。
 そんな彼らのアルバム『ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント』、この号の発行される頃は全曲が聴ける。このアルバムが、各誌2008年アルバム・オブ・ザ・イヤーに選ばれることは必至だが、まずは自分でどのくらい愛聴できるかが楽しみだ。そして真のロック・ファンなら、絶対に無視してはいけない音であることを、改めて言いたい。

Text by 松本昭仁(すみや本社 営業グループ)

『ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント』
ザ・ラスト・シャドウ〜-J.jpg




Hostess
発売中
CD
HSE-10065
¥2,490(税込)

2008年、UKロックが新たなる展開を見せる。60〜70年代クラシック・ポップスを下敷きにしながら、美しく、狂おしいビートが跳ねる。日本盤にはボーナス・トラック1曲を収録した全13曲の"アンダーステイトメント"。老若男女ロック・ファン必聴の1枚。歌詞・対訳ライナーノーツ付き。

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