アイアン・メイデン

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アイアン・メイデン

大成功の「サムホエア・バック・イン・タイム・ツアー」から生まれた、新たなベスト・アルバム。
「おいおい!あの曲入ってないよ!!」「いえいえ!それでいいんです!!」
これが正しいベスト・アルバムの楽しみ方なのだ!!

(初出『Groovin'』2008年5月25日号)

アイアン・メイデン-A.jpgPhoto by John McMurtrie ©2007 Iron Maiden Holdings Ltd.. 5thアルバム『パワースレイヴ』から7th『第七の予言』までを中心に選曲された「サムホエア・バック・イン・タイム・ツアー」で、またもや、そのあまりにプロフェッショナルでエネルギィッシュなパフォーマンスが日本のファンをノックアウトしたばかりのアイアン・メイデンが、今度はそのツアーに準じた選曲のベスト・アルバムをリリースした。彼らのベスト・アルバムにはこれまで3枚がリリースされ、今作はそれらに続く4枚目。新曲こそ収録されていないものの、過去のベスト・アルバムと比較しても格別重宝されることは間違いない。収録曲が全て名曲であることは言うまでもないが、長尺な曲よりも、コンパクトでメロディアスな曲が中心で構成されていること、そして何より重要なポイントは全曲がヴォーカリスト、ブルース・ディッキンソンで統一されているということだ。これは初心者にも聴きやすいはず。曲順も1曲目から素晴らしい世界が開かれること必至の並びで、今日からあなたもメイデン・ファン!…と言うか、メタル・ファン!!
 そんな強力な今作だが、アイアン・メイデンのベスト・アルバムは他のアーティストとは少し意味合いが違う。彼らは既にキャリアが30年を超え、大作の多いバンドでもあり、1枚でキャリアが総括出来るわけがない。だからベストというよりは、その時々で彼らのお好みDISCを作っているようなものなのかもしれない。
 30年以上自分たちのやりたいことを頑固に貫き通し、周りに振り回されることも一切なく生きてきたアイアン・メイデン。今回のベストはワールド・ツアーを通じて、単に自分たちがその選曲を気に入ってしまったことから生まれ出たのだろうと私は思った。アイアン・メイデン・ファンにしたら、今回もまたバンドのお遊びに付き合わされるわけだが、それでもジャケットに興奮し、選曲にニンマリしてしまうのだ。オリジナル・アルバム2、3枚でベスト・アルバムをリリースし、内容的にも「どこがベストなんだ」と思ってしまうことの多い昨今。1人1人のファンが「あの曲が入ってない」と突っ込みを入れてしまうベスト・アルバムこそ、本当のベスト・アルバムなんだと私は思う。私の好きなあの曲はいつかベスト・アルバムに入ることはあるのだろうか?そんなことを考えつつ、今作を聴いて次のベスト・アルバムも楽しみに待ちたい。

Text by 三津山貴之(玉川高島屋S・C店)

『時空の覇者』
アイアン・メイデン-J.jpg Illustration by Derek Riggs.




EMIミュージック・ジャパン
発売中
CD
TOCP-66795
¥2,500(税込)


キャリア30年を超えても未だ革新を続ける偉大なるヘヴィ・メタル・バンド、アイアン・メイデン。大成功の「サムホエア・バック・イン・タイム・ツアー」から生まれたキャリア中期選曲のベスト盤が登場!! バンド入門用、いや、メタル入門に最適な1枚!!日本盤初回生産分のみジャケットステッカー封入。

【アイアン・メイデン 日本オフィシャルサイト】http://www.emimusic.jp/intl/ironmaiden/

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