コールドプレイ

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コールドプレイ

あらゆる生命を祝福する福音を鳴らせ。
時代に名を刻む驚異のトータル・アルバムが遂に現出。
21世紀最大のロック・バンド、コールドプレイを目撃せよ。

(初出『Groovin'』2008年6月25日号)

コールドプレイ-A.jpg©Stephan Craneanscki
 日本におけるコールドプレイの認知度とはどの程度なのだろうか?こんな疑問を投げかけたのも、世界とここ日本の温度にかなり隔たりがあるのでは?と思ったからだ。前作『X&Y』は2005年に最も売れたレコードだそうだ(因みに2位はマライア・キャリーの『MIMI』)。全世界累計販売枚数3,300万枚という途方もない数字を叩き出し、世界中から次なるアクションを待たれている屈指の重要バンドと言っても過言ではない。日本でももちろん売れているのだが、まだこんなものではないはずだ。そして今作『美しき生命』でその温度差は一気に埋まる、と確信している。
 3年振り4枚目となる全世界待望のニュー・アルバム『美しき生命』はジャケットに有名な「民衆を導く自由の女神」というフランス7月革命を題材にした絵画を用い、その中心になぐり描いた様な生命感溢れる筆致で「VIVA LA VIDA」と記されている。スペイン語で「人生万歳」と訳されるこの言葉、自由と母性を表すと言われるジャケットの絵画と相まってなんともスケールの大きいメッセージを感じずにはいられない。
 そして肝心の内容はというと、まるで1枚の絵から感じる様々な思想・メッセージを具現化した様なコンセプチュアルにして幾重もの感情を喚起させる素晴らしい出来となっている。ドラマティックで拡がりのある曲展開は彼らの得意とするところではあるが、それが極限の高みまで引き上げられている事により、強弱・緩急がより一層引き立ち、さらなるドラマ性を描き出す、というとんでもない領域に手が届いてしまっている。個人的に出色はT-3「ロスト!」、T-5「ラヴァーズ・イン・ジャパン」、T-7「美しき生命」の3曲。中でも表題曲でもある「美しき生命」はあらゆる感情を表出させる素晴らしい展開の曲。過去の名曲に並ぶ最強の楽曲だ。プロデューサーにブライアン・イーノを迎えて制作された本作はイーノらしい音使いも所々に見られ、非常に幸福なケミストリーが生まれた事を感じさせてくれる。
 正直、このバンドは素晴らしい楽曲を作り続けているし、アルバムそのものも凄く売れているし、セレヴリティという特権も得ているし、文句の付けようがないのだが、時代を変えるようなバンドではないと思っていた。それこそU2やレディオヘッド、R.E.M.の様に時代に必要とされているバンドやアーティストというのは他とは完全に異質なオーラを醸し出す。コールドプレイがそうでないことに少し物足りなさを感じていたのだが、今作において彼らは明らかに違うステップに踏み出した感がある。アルバムを通して聴いた時に感じた、それこそ前述のバンドにしか出せない大物感と言うか、異質な空気感。空恐ろしくなるような拡がりと感情の渦を巻き起こす楽曲の完成度。是非、今のこのバンドのライヴを見たい、と心から思う。そんなところへサマーソニック 08へのヘッドライナーとしての来日決定の報。多くの人が目にすることが出来るフェスという場所で必ず彼らを目撃して欲しい。それはきっと歴史的瞬間となるはずだから。

Text by 中野智人(すみや本社 営業グループ)

『美しい生命』
コールドプレイ-J.jpg



EMIミュージック・ジャパン
発売中
CD
[初回限定スペシャル・エディション]TOCP-66805
[スタンダード・エディション]TOCP-66806
各¥2,500(税込)

3年振りの4thアルバムはコンセプチュアルにしてプログレッシヴ。しかしながら冗長な感じはなく個々の楽曲としても秀逸なのだから凄い境地に達しました。サマソニでの目撃は必須!僕も行きます!日本盤はボーナス・トラック1曲収録。スペシャル・エディションは紙ジャケット、スタンダード・エディションはジュエルケース仕様。

【コールドプレイ OFFICIAL WEB SITE】http://www.emimusic.jp/coldplay/

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