MY BEST CHOICE!

MBClogo.png
第99回
谷口史朗(すみや営業グループ 関東チームチームリーダー)

(初出『Groovin'』2008年6月25日号)

 1979年、大学生になった時、時代はすっかりフォーク・ソングからニュー・ミュージックへ移っていた。サザンオールスターズがデビューした頃だ。大学で入ったサークルはアコースティック以外の音楽をひとまとめに「電気」と呼び、明らかに「電気の力を借りないとやれないやつら」という蔑みに満ちた体育会系アコースティック音楽サークルだった。そんなサークルのアコースティック・ギターに対する教祖的存在だったのが「中川イサト」。入ってくる新人にはエレキ・ギター野郎であろうが、ドラマーであろうが、とにかくイサトを教えまくった。フィンガリングによるラグタイム・スタイル・ギター・インストのイサトは、教えられた誰もが夢中になった。アコースティックにこだわり、更に1人で演ることにこだわり、ギター1本でインストを奏でるイサトの姿は、今も自分の音楽スタイルの教祖だ。
 当時、イサトはよくギターだけのインスト・アルバムをメジャーから出すことの難しさを語っていた。『お茶の時間』をはじめ、当時のCBS・ソニーから何枚かのアルバムを出しているが、「歌がないものは売れるはずがない」という意識は当時の音楽業界に根強くあリ、メジャーから発表するには相当に苦労したようだ。
 現在の押尾コータローはこの中川イサトの流れを汲んでいる。イサトを師匠と仰いでいるようだ。あれから30年、押尾コータロー、DEPAPEPE、ゴンチチをはじめギター・インストのアルバムがこれほど世の中に受け入れられる時代が来るとは筆者自身、当時夢にも思っていなかった。日本の音楽シーンの裾野の広がりにはただ驚くばかりだ。更に30年後の音楽シーンはどうなっているのか?大いに期待できる。

*なお次回は、山田 稔氏(すみや本社 財務グループ チームリーダー)が登場します。お楽しみに。

中川イサト
『フットプリンツ〜ベスト・オブ・イサト中川』
中川イサト-J.jpg




オーマガトキ
発売中
CD
OMCA-1011
¥2,625(税込)

1970年代のギター・インストに加え、その後の発表曲も加えたベスト盤。それらをアレンジし直して再録音している。イサトの真髄を聴くには良い。店頭になければ注文して欲しい。

inserted by FC2 system